見出し画像

文学修行中の漱石

『草枕』と『虞美人草』の間に書かれた中編小説二編。
俗な世相を痛烈に批判し、非人情の世界から人情の世界への転機を示す「二百十日」、その思想をさらに深く発展させた「野分」を収録。
〝豆腐屋主義〟の圭さんと奔放な性格の碌さん。江戸っ子二人の軽妙な会話を通じて、金持が幅をきかす社会を痛烈に批判する『二百十日』。理想主義が高じて失職した元中学教師の文筆家・白井道也と二人の青年・高橋と中野。学問、金、恋、人生の葛藤を描く『野分』。漱石の思想や哲学をもっとも鮮やかに体現する二作品。

『二百十日』は漱石の文学修行か?大したストーリーでもないけど文体が漫才だった。この漫才コンビでM1グランプリに出てもらいたいな。グランプリを取れるかと言うと無理だろうけど、そこをどう面白く語れるか?やってみる価値はあるんじゃないだろうか?又吉くん。

『野分』は漱石の文学論を読んでいる感じ。白井道也は小説家でその昔『坊っちゃん』のように教師をしていて、生徒のいたずらで学校を辞めて、その教え子が高柳君.。彼は小説家を目指して白井先生の弟子でもあるが病弱。白井先生の演説を聴いて、高柳くんは自分のすべてを投げ打って先生の文学を世に問おうとした。金じゃなく理想なんだ。経済経済言って理想もない今の作家に聞かせたい。

『野分』は漱石が文学者として腹を決め理想を描いた作品か。後の作品に出てくる妻との関係や病気についてもでてくる。そして白井先生と高柳の関係。家族関係と文学仲間の関係。文学の道、己の道を問う。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?