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遠野物語は遠くになりつつある物語

『遠野物語と呪術』展(遠野博物館)2023.7.21~9.24入館料一般310円、高校生以下160円

「呪術」とは、神や精霊などの超自然的な力や神秘的な力に働きかけ、種々の願望をかなえようとする行為、およびそれに関連する信仰の体系のことを指すことばで、「まじない」「魔術」などとも呼ばれる。『遠野物語』には様々なまじないの話が掲載されています。また遠野の民間信仰や年中行事などにもまじないの習俗を見ることができます。本展覧会では、遠野と岩手県内のまじないに関する資料を中心に展示します。

車で行く人は図書館の駐車場が使えるそうです。図書館と隣合っている三階が博物館で図書館からエレベーターで行けます。図書館でも関連書籍展などをやっているので、先に見ておくといいかも。閲覧室に自販機があって席が空いていれば休憩できます。椅子は二つしかなかったような。無料コインロッカーがあるので、荷物はここに預けてしまいましょう。

いよいよ博物館に入場料を払って入館するのですがナビゲータータブレットを無料で貸してくれるので、それを借りると理解が全然違います。無料っていうのが珍しい。東京とかは有料だったような。台数に限りがあると思うので朝一で行きたいですね。

第一展示室

ここはマルチスクリーンで遠野物語の動画を見せてくれます。事前に柳田國男『遠野物語』を読んで行かなくてもアニメや語り部の動画から『遠野物語』の全体像が知れます。水木しげるのアニメが一本「河童とおしらさま」、残りも動画やアニメで「まよいが」「白い鹿」「やまはは」など。遠野に伝わる民話を動画で鑑賞できます。全部見ると一時間ちょいかな。一本10分ぐらいです。全部見る必要ないです。時間がある人は全部見るといいです。時間がない人は気になる話だけで、あとで『遠野物語』を読めばいいと思います。

第二展示室

ここは常設展で遠野の人々の生活や歴史の展示。

最初にここにも映像で見る遠野物語が書かれた明治の人の生活を液晶画面で見ることが出来ます。四季に分けられたジオラマは、遠野の人の農業を中心とした生活を理解できます。一年の祭りやら風習から四季の循環に密着した生活であることがわかります。また農業が主体ですから、それにまつわる占いや呪術が発展して行ったことがわかります。またこの時代(明治以前か)は飢饉も多く、それで馬を使った運輸業が遠野で盛んになったのでした。実物大の馬の模型と運輸業に携わる道具などの紹介、その他農具や生活史の展示ですね。ここはナビゲーターの解説があると良く理解出来ます。ないと漠然とどこにでもある民族館のように通りすぎてしまう。昭和頃まであった洗濯機とかTVとか懐かしい物も展示されている。ポイントに嫁さんノートが置いてあり、日記エッセイのようなノートで近年の生活も知ること出来る。ここをじっくり観ると結構時間がかかってしまいます。

第三展示室

ここが企画展でここが本来の「呪術展」なのですが、それまでにタブレットの電池を使い果たして、ここでは使えなかった。歴史資料とか写真とか。これは千円でカタログが売っているので、それを見ると詳しく写真入りで書いてあるのです。時間がない人はこれを買うといいです。

呪術は飢饉を乗り越えるための祭りや占いから来たものなんですね。最初から人を呪い殺すということではなかった。まあ遠野物語が長者物語でもあるので、そういうやっかみとかあったんだと思います。また村の掟のようなもの、映画『山女』で公開されてましたけど、それは山の神(女神)が災いを起こすのを自然の運命だと受け入れていた物語だったのです。

動物物語や妖怪物語も自然の化身としての自然だったのです。そんな遠野世界も都市化によって消えて行ったのは運命かもしれない。だから柳田國男は『遠野物語』で残したかったのです。



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