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日本の黒塗り映画は、いつ観られるんだろう?

『モーリタニアン 黒塗りの記録』(アメリカ/2021)監督ケヴィン・マクドナルド 出演ジョディ・フォスター/ベネディクト・カンバーバッチ/タハール・ラヒム/シェイリーン・ウッドリー/ザッカリー・リーヴァイ

解説/あらすじ
2005 年、弁護士のナンシー・ホランダーはアフリカのモーリタニア出身、モハメドゥ・スラヒの弁護を引き受ける。9.11 の首謀者の 1 人として拘束されたが、裁判は一度も開かれていない。キューバのグアンタナモ収容所で地獄のような投獄生活を何年も送っていた。ナンシーは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。時を同じくして、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐が起訴を担当する。真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた──。

ジュディ・フォスターも立派になった。子供ギャングだった頃が懐かしい。子役でこの齢までやる女優は凄いんではないかい。それもハリウッドで主役をやっている。この役はおいしすぎてアカデミー賞とかは無理だと思うがなかなかの好演。

ベネディクト・カンバーバッチ演じる大統領令で死刑裁判をするための証人となる大佐が重要だった。キリスト教徒でアメリカ司法の正義を守るという立場から、グアンタナモ収容所で行われていた拷問を探り出す。アメリカ軍人でも正義の人はいるのだという好印象を与える役だった。こういう役も上手いよね。その前に観た『クーリエ:最高機密の運び屋』で拷問されるシーンは凄かったけど。

映画は、9.11以降にテロ犯人との共犯者を探し死刑にするためにグアンタナモ収容所で行われた拷問と長期に渡る拘束を告白するモーリタニアン出身のアラブ人の実話。収容所では名前はなく、番号で呼ばれる。一日の中で外にでてお祈りの時間があるのだが、そのとき隣の被告(壁で仕切られているのだが)と会話を交わす時に出身地で、コミュニケーションをするのだ。その二人の友情物語が後で号泣シーンとしてある。こういう作り方が上手い。

そのホロリとさせた後に拷問シーンとかがあるのだ。今までに観た映画の中でもかなりえげつない拷問シーン。女性兵士が猫の仮面を被って、セックスを強要する。耐えられない。ヘビメタもBGMとして使われていい迷惑だと思う。拷問=ヘビメタみたいな。

物語はジュディ演じる女性弁護士とベネディクト・カンバーバッチ演じる大佐のストーリーがパラレルで映されて、それぞれの苦悩を描き出す。そして、アラブ人の苦悩も描いているのだが、アメリカ人の苦悩を描き出すことによって、キリスト教とアメリカ司法の正義を描き出す。アラブ人にアラブでは警察が権力と癒着してとか言わせるけど、それはアメリカ司法の正義を引き立たせるためだと思うのだが、そういううがった見方をしないでもいい映画です。

その収容所の記録が残されていたが黒塗りにされていたという日本でも移民収容所の記録が黒塗りで出された事件があったよな。しっかりアメリカの真似をしていた。


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