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演技派女優でリメイクしてもらいたい映画

『それから』(1985年製作/130分/日本)監督:森田芳光 出演松田優作、藤谷美和子、小林薫、笠智衆、草笛光子


解説
漱石の名作の映画化。生きるためだけに働くのは非人間的だとして“遊民”の生活を送る代助(松田)は、かつて友の本望に殉じて密かに愛し合っていた三千代(藤谷)を平岡(小林)に譲るが、三千代は代助を愛し代助を待ちながら、世俗的な平岡のもとで苦しんでいた。やがて代助は愛を告白するが、友と家からの絶縁が待っており……。明治末期の雰囲気を忠実に再現し、森田独特のリズムと映像美に貫かれた恋愛映画の傑作。国内の多くの映画賞を獲得した。

夏目漱石『それから』に出てくる白百合は山百合だったという塚谷裕一『漱石の白百合、三島の松-近代文学植物誌』という本を読んで確かめるために映画を見たくなった。

結論から言うと山百合ではなく、「鉄砲百合」みたいだった。もしかして、それも違って外国産の「マドンナリリー」かもしれない。

この写真を見ると確かにそうだった。あの時代花屋に売っていたかは考察の余地があるが。

映画の方は、藤谷美和子では役不足かな。結婚後の芳醇な匂いたつ三千代ではなかった。鉄砲百合の藤谷美和子には重すぎる役だったかもしれない。主演男優賞、助演男優賞、作品賞、監督賞を取っていながら主演女優賞がなかったのだ。

けっこう脇はベテラン俳優で固めていて、嫂(あによめ)の草笛光子は良かった。代助が三千代のことを告白するのを自分のことだと思ってしまうシーンの滑稽さとか。このへんはさすがのベテラン女優だった。『それから』以降の漱石の小説で嫂と出来てしまう小説があるのだが、それを連想させた。

恋愛映画としてはヒロインがいまいちだったが文芸映画としてはなかなか良かったかもしれない。松田優作も動の演技ではなく静の演技で。確か鈴木清順の映画で半径1メートル以内の演技をしてくれと言われたとか(直径1メートルだった)。

それが生かされているというか、森田芳光演出手法も鈴木清順っぽいかもしれない。列車のシーンとかかなり実験的だったような。

あと小津の構図かな。人物が向かい合って対話するという。あまりよく見ていなかったが、そこが静的に感じる映画だったかも。

でもやっぱ藤谷美和子の三千代には不満だったのでリメイクしてくれないかな。広末だったりして。

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