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ヒーローは流血戦、絶対に負けない

映画サイトではそれほど評価高くないけど面白かった。ヒーローもののパロディーというか「ドン・キホーテ」のような先行するヒーローがいて(この映画の場合人助けで亡くなった父でもあるのだが)、それを模倣するが時代的に合わない。原作はラノベで最初はラブコメのような感じで次第にヴァイレンスを帯びてスプラッター映画になる展開が予想外で、最初の学園ドラマの部分がラブコメなのでSABU監督はこんな映画作るんだと思っていたら次第にヴァイオレス色が濃くなり最後は血染めのスプラッター映画に仕上げている。職人芸ですね。

正義感が強い高校生・濱田清澄(中川大志の普通ぽさがいい)は、一年生のいじめを目撃、彼女を助ける。いじめ問題を今日的なラブコメ学園ドラマで描き、特に二人が接近してヒーローの師弟となる瞬間が面白い。波いじめられっ子の蔵本玻璃の「すべてUFO(宇宙人)のせい」というのも泣けるセリフ。そしてその根本となっている悪の父親のDV。それが殺人事件まで拡がっていく怖さ(父親役の堤真一の演技も良かった)。逆に清澄の父のヒーロー像と対象で勧善懲悪のヒーローに憧れ再生産していく中(それでもSABU監督の映画)でヒーローは血みどろ、それでも悪の父殺し映画なのだ。そして物語的には円環構造。いじめられっ子女子の変身ぶりがいい。先輩はヒーローものの師匠だよな。


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