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改憲勢力に備えるための読書

『三酔人経綸問答』中江 兆民 、(翻訳)鶴ヶ谷 真一 (光文社古典新訳文庫)

自由平等・絶対平和の追求を主張する洋学紳士君と軍備拡張で対外侵略を、と激する豪傑君に対し、南海先生の持論は二人に「陳腐」と思われて......。自らの真意を絶妙な距離感で「思想劇」に仕立てた中江兆民の代表作。未来を見通した眼力が、近代日本の問題の核心を突く!

安倍政権が改憲を仕掛けてきている今だからこそ読んで欲しい本かも。憲法9条の非戦非武装の思想は明治初期の中江兆民の思想の中にあった。ルソーの『社会契約論』を翻訳・解説した人だから論理的だ。軍拡、対外侵略も考察する。自由平等の平和主義の洋学紳士と軍拡・帝国主義の豪傑君、そのまとめ役の南海先生は中庸というか、いきなり理想論の先進すぎても破綻するだけだという論理。その他に外注で「眉批」は南海先生にもチャチを入れる外野の観客。

民権を下から勝ち取った(フランス革命)と賜った民権(明治維新)も考察。日本はどうしても下からの改革は出来ないで、外圧というパターンになるのは島国だからなのかな。軍拡・帝国主義の道を歩んでいったけど見事に壊滅したわけだ。(2017/06/27)

「東洋のルソー」と呼ばれた中江兆民が1887年に発表した『三酔人経綸問答』。いよいよが先の参議院選(2022/07/11)で改憲派3分の2議席を超えたと騒いでいるが衆議院ではすでに安倍政権のときに超えていたのだ。その時に読んだのがこの本だったようだ。

当時は自由民権運動がさかんな時で様々な議論が交わされたと思う。それでも日本は軍事政権下の社会へと進んで行ったのだ。いまそれを考えると恐ろしくなる。昨今の社会情勢。

まだこのように笑劇のユーモアで書ける時代は良かったのだ。その笑いも消えていく。昨今のお笑いブームは、論理よりも感情によるもので何を語っているのか?



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