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沖縄米兵少女レイプ事件小説

『眼の奥の森』目取真俊(2009年)


米軍に占領された沖縄の小さな島で、事件は起こった。
少年は独り復讐に立ち上がる――
悲しみ・憎悪・羞恥・罪悪感……
戦争で刻まれた記憶が、60年の時を超えて交錯し、せめぎあい、響きあう。
魂を揺さぶる連作小説。

アメリカ・カナダで英訳版、韓国でも翻訳版が刊行され、世界的に注目を集める著者の代表作。

敗戦後の沖縄で米兵にレイプされた少女と海水浴するその米兵達を銛で突き刺した少年の復讐劇。その後の彼らの変奏曲。語り手が様々に変わることで重層的に沖縄のその後の世界を垣間見せる。少年の沖縄言葉による少女との邂逅は意識の流れの描写で印象的。他に米兵の回想とかも。米兵の回想はどうなんだろうと思ったけど、消極的な米兵がレイプ仲間に加わらなければならなかった様子など。あと中学のイジメの少女の話とか。現在のそんな社会も繋がっている世界なのかと。絶望しか垣間見れないわけだがそれが今の沖縄の姿なのか?(2017/08/15)

関連書籍

辺見 庸,目取真俊『沖縄と国家』(角川新書)



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