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梅雨空に汗ばむ雨読根の国へ

なんか空しか撮れない。天気が不安定だから一日の行動が予定通り立たない。予定などあったのか?まあいろいろあるんだわ。昨日は観たい映画があって、朝は雨模様だったが昼から晴れたので出掛ける。図書館で本を返して、映画二本観た。土曜日はミニシアターのプログラム変更だから観たい映画はたくさんある。一番観たかったのはソクーロフ『独裁者たちのとき』。カンヌで賛否両論(商業映画のカンヌでは上映中止)ということで観た。エンタメではないので眠くなる映画なんだけど突然大音量と共に狂気の映像になっていくというような。かなり実験的。

アニメーションの手法だった。アーカイブ映像を使ってアニメーションするというような。セリフはオリジナルなのだろう。ダンテ『地獄変』のような。注意すべきは独裁者だけじゃなく、イエス・キリストも復活するということ。

エンタメ作品ではないから、評価は難しい。AIとか使えばもっと上手く出来そうなんだが、そういう映画でもなかった。悪夢の世界だから綺麗に撮っても仕方がない。

もう一本『幻滅』はバルザックの原作の映画化。新聞が出始めた頃の話で、地方の文学青年がパリで新聞記者になって活躍するが陰謀に巻き込まれていく悲劇。わりとこっちは面白かった。ちょうど社会の変化の時代で貴族社会から市民社会に移行していくときの悲劇。

今の時代にも繋がる映画だったんだな。バルザック『幻滅』読んでみたい。

映画から原作を読むというのはよくあることで、鈴木清順『陽炎座』を観てあまりにもストーリーがよく分からなかったので泉鏡花『陽炎座』を読んだ。原作も幻想小説の上に鏡花の美文調の文体は分かりにくかった。ただ鈴木清順の映像は実に見事だったと思った。原作そのままのような。いや原作を超えているかもしれない。調べたら清順『陽炎座』は鏡花『陽炎座』の他に別の鏡花作品を合作してあり、鏡花作品の『陽炎座』というような幻想(幻夢)映画になっていたのだ。

待ち時間に大江健三郎『万延元年のフットボール』を読む。これは大江健三郎だけど読みやすいと思った。まあ『燃え上がる緑の木』や『同時代ゲーム』の語り直しの最初の大江健三郎の四国の森の話だから、それぞれの登場人物が具体的に見えてくる。ギー兄さんの元になったのは、徴兵制度から逃げ回る山の人というイメージは横井庄一さんのイメージだった。この頃話題になったから、それも影響されているのかと。

あと語り手の弟の鷹四は、イエーツの『鷹の井戸』のイメージかな。『燃え上がる緑の木』にもイエーツの鷹の詩のイメージがでてきた。鷹+四国で「鷹四」かなと。名字の「根本」は「根の国」のイメージだった。大江健三郎の神話の構造が見えてきた。

あと江藤淳と大江健三郎の本があったことに気がついた。小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』。読書が繋がってきた。

今日の一句を忘れていた。梅雨の合間だった。雨読ということだよな。

梅雨空に汗ばむ雨読森の中

これでいいか?

梅雨空に汗ばむ雨読根の国へ

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