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下北の電線絡む恋喜劇

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今泉⼒哉監督『街の上で』を観た。これは凄い面白い!今まで観たラブコメ映画で一番かも(若尾文子,と川口浩主演、増村保造『最高殊勲夫人』が今までは一番だった)。「下北沢ラブ・ストーリーズ」という感じで下北にあんなに可愛い子がいるなら住んでみたい。古着屋の店長やっている27歳の青年(青という)が主人公で最初のシーンで、彼女の誕生日に別れ話。彼女が浮気して。ケーキまで買ってきたのに。

後で復縁するんだけどそのケーキが冷蔵庫に保存してあった(1週間ぐらい?)。彼女の相手が俳優で朝ドラにでるぐらいの人(友情出演、成田凌がいい)なんだが、彼女は居心地が悪かったって戻ってくる。青はその俳優と学生映画の出演を頼まれて共演していた。この卒業制作映画の撮影シーンも面白く、青は本を読むだけのシーンだがガチガチに緊張して使われずに没。オープニングがこのシーンだった。若葉⻯也は役者のくせに下手くそだなと思ったがわざとだったのだ。

本を読むシーン。古本屋の彼女と何回も練習したのに。その古本屋の彼女は亡くなった古本屋の店長と浮気していた薄幸女子。青がそのことに触れてしまい、険悪な感じになるのだが、次に会うときに謝罪して謝罪の留守番電話を聞く、そして和解したところで読書する撮影の練習するわけだった。古本屋の留守番電話が店長の声であることを知っていて青はスマホでかけて彼女に渡す。彼女は知らないで亡くなった店長の声を聞く。ここはポイント高いシーン。映画上映会に青はカットされたから出かけないのだが、古本屋の彼女は観に行って、あれほど練習したのにカットされていると監督に文句を言うのだった。

あっさり演技が下手だったからと言われて納得するんだけど、それを言ったのが衣装係で映画製作に関わっていた女の子(中田青渚という女優は要注意です。)で青とセックスしない友達となる。その過程も面白いんだけど、青が部屋に泊まって、朝になって三番目に付き合った嫌いな彼がやってくる。揉めているうちにスナックのマスターと元カノと路上で出くわす。4人の絡みが面白い。彼女になったり否定したり、マスターも元カノの男だったと青が勘違いする。このカウンターだけの店も昭和の音楽スナックみたいでいい。下北にはこういう飲み屋も多そうだ。もう一軒ヴィム・ヴェンダースが必ず立ち寄るというおしゃれなジャズ喫茶が出てくるが、こういう店は今もある感じだ。芝居小屋のスズナリが出てきたり、サブカル映画でもある。


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