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短歌レッスン85

茂吉短歌


大島史洋『斎藤茂吉の百首』

なんという歌なんだ。『赤光』の中の「死にたまふ母」の一連の連歌の中の一首です。短歌を私小説的に詠んだのですが、茂吉の異常さと冷静さが相まっている歌です。センチメンタリズムもないリアリズムなのか?ただ茂吉の芝居気も感じるわけで、そういう冷静さを持った医者であると。医者であるから異常者的に感じるのか?「かはづ」に問うて観たい気もします。答えはないでしょうけど。

模範十首

今日も福島泰樹『中也断唱』の続きです。

「元フライ級王者斎藤清作(たこ八郎)は、私の絶叫コンサートのファンだった。たこさんが、最後に来てくれたのは、亡くなる少し前、新宿安田生命ホールで開催された「六月の雨」であった。」

五月ゆく 黒き雨衣(カッパ)に縫い付くしぶきのごとく離れざりけり

酒瓶の花はしおれて切なくも畳の上に届くおかしき

だらりんと両手をさげてうなだれる敗者はつねに歯を漱(すす)ぐのみ

縄のれんかなしからずや人生に敗者復活戦などあらぬ

短歌絶叫コンサートの暗闇でまなこみひらきたいりし人よ

舐めて癒やすこころの傷が桝酒の塩 真四角のリング想いき

なぜか中也とたこ八郎が肩組んで百人町を闊歩しておる

小男が二人ならんで歩きおる黒いフェルトの山高帽子

指折ってたこと中也がたのしげにちゅちゅうたことなに数えおる

ああ今日も負けて帰宅し叫(わめ)き散らす中也をたこが宥めているよ

福島泰樹『中也断唱』

「五月ゆく」の歌だけでは、何が縫い付いているのか、よくわからんが詞書にあるとおりだとすればたこ八郎の亡霊か?
酒瓶の花がたこ八郎らしい。
福島泰樹もボクサーだったからボクシングの描写が上手い。
「人生に敗者復活戦などあらぬ」の下の句。人生で何が勝ちかによるよな。酔っ払いすぎ。
「まなこみひらきたいりし人よ」はたこ八郎を指していると思うが、そういうファンはいたのだから一概に負け組とは言えない。

「うたの日」お題

すでに11時になろうとしている。今日もやる気がなかった。「籠手(こて)」「手品」「品川」まで投稿終わっている。「川柳」「ししゃも」「偏見」「見てみたい景色」「色々」
今回もむずかしいな。「川柳」はうたで題で詠むか「川柳」らしさを出すか?題だろうな。
「ししゃも」は「子持ちししゃも」になりそうだ。「ししゃも」も貧乏の代名詞でもなくなったしな。酒の肴として、ブルースっぽく、詠めるかもしれない。
「偏見」は直情すぎるからパスだな。
「見てみたい景色」なんてないな。それを詩で作り出せるか?『パトリックと本を読む』の短歌編だよな。
「色々」は色々ありすぎてかえって悩む。

「ししゃも」
無慈悲かな、子持ちししゃもを食べないという君はトロを注文

もうひと工夫欲しい。

無慈悲いう子持ちししゃもを食べる奴そういう君はトロを注文

まだブルースが足りない。

無慈悲にも子持ちしゃもを食べる我そういう君はトロを注文

他に浮かばないならこれだな。もっといい歌にしたいけど。

おっさんは虐殺語り酒を飲み 子持ちししゃもを肴にうたう

結果

おっさんは虐殺語り酒を飲み 子持ちししゃもを肴にうたう
『 シシャモ 』 やどかり #うたの日 #tanka http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=3186d&id=21

うたの日

❤一つ。今日は自分でも満足してないからどんまいかと思った。ししゃもだとみんな子持ちししゃもになるからな。

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