見出し画像

日本の風土に生成変化していく神々

『神神の微笑』芥川龍之介(青空文庫)

初出は「新小説」[春陽堂書店、1922(大正11)年]、初出時の題名は「神々の微笑」。「春服」[春陽堂、1923(大正12)年]に収録。初刊収録時に結末付近が大幅に削除された。日本から逃れたいと思う気持ちを反省する神父「オルガンテイノ」が不思議な力で風土に潜む霊と戦う決意をする。

空海『三教指帰』は、儒教、道教よりも仏教こそ最高の教えだとしたが、そこに神道は入ってなかった。キリスト教はまだ輸入されてないとしても、仏教の大日如来は大日孁貴神(おひるめむら、天照大神の別名)に変化していくとした芥川の彗眼。

キリスト教神父「オルガンテイノ」が日本の神々と闘う「幻魔大戦」のようなオープニングから芥川は面白い。日本の神主のような老人が出てきて、この国の神は滅亡させることが出来ないという。なぜなら異教の神に乗り移って生成変化していくからだという。なるほど明治になって、キリスト教的一神教の天皇唯一神の神道に生成変化して行ったのだ。

そして、キリスト教神父「オルガンテイノ」は南蛮船入津の図として絵の中に閉じ込められてしまった。統一教会も日本の政治の中で生成変化していくのか?

画像1



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?