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魂を見続けるのは辛いものがある

『魂のまなざし』(2020/フィンランド/エストニア)監督アンティ・ヨキネン 出演ラウラ・ビルン/ヨハンネス・ホロパイネン/クリスタ・コソネン/エーロ・アホ/ピルッコ・サイシオ/ヤルッコ・ラフティ

解説/あらすじ
1915 年、ヘレン・シャルフベックは、高齢の母親とともに田舎で暮らす、いわば忘れられた画家だった。それでもヘレンは湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。すべてが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた 159 点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出したからだ。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされる…。

ヘレン・シャルフベックという画家は初めて知りました。フィンランドでは国民的画家なんだそうですが、日本ではほとんど知られていない。その彼女の伝記映画ですが、ちょっと芸術映画っぽくしたためにわかりにくかった。最初に「戦争や貧困を何故描くのか?」と質問があるのだが、そのような絵が出てくるわけではない。貧困といえば貧困なんだろうけど画家の貧困はもっと凄まじいものを想像してしまう。

家もあり絵を描く場所もあり、そこそこ売れている。まあ画商が彼女の利益を搾取しているようではあるが。

この映画の明確なテーマは女性の自立ということなんだと思うけど、いま一つわかりにくかった。それは母娘関係と同性愛がテーマかなと思わせて、若い男に失恋する話がクローズアップされる。もう少しテーマを明確化したほうが良かったかな。考えれば女性の自立だとわかるんですが。

若い男との関係がいまいちよくわからない。プラトニックだったのか?それにしては若い女と婚約して、見捨てられる。そのことが怨念のエネルギーのように絵を描く。母親の関係もそうだった。負のエネルギーなんですね。だから共感を得にくい。

同性愛的な女性も出てくるが、それは相手の彼女の方が同性愛的なんで、ヘレンは違う。むしろ若い男に翻弄されて病んでいくような。それが芸術に向かわせることにもなるのだが。ドキュメンタリーだったらもっと違ったものになったのかもしれない。最近観た女性作家のドキュメンタリー『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』のような作りの方が良かったかも。



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