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浮舟、寂聴さんになる

『源氏物語 55 手習 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)

平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第53帖「手習」。入水自殺を図った浮舟は生きていた。横川の僧都に助けられ、妹尼の手厚い看護を受けていた。ようやく意識を回復するが、死にきれなかったと悔やむ。妹尼の昔の婿が浮舟を見初めた。浮舟はまたも煩わしいことが起こるのかと儚み、僧都に懇願し出家してしまう。中の君から浮舟が生きているらしいと聞き、訪ねてみる薫だった。平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編古典小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。

Amazon紹介文

浮舟が生きていたとは出来すぎ。小説としてはそのあたりはあやふやな方が面白いと思うのだが。尼君も誰が誰だか錯綜する。源氏の女はみんな尼かいなと思うほどに。そんなことを思っていたら浮舟まで尼になるという。おいおい、もっと他に生き方はないのか?と問いたくなるがないのである。

吉川の僧都というのがここでは重要人物だという。それで浮舟に手を出すのかと思う(誰も思わない)が囲碁をするのである。このへんは面白い。紫式部も囲碁が好きだったとか。一日暇なものはそういうゲームオタクになるしかなく、かなり強敵になるのはそういうことだろう。

もう一つ暇人の手習いとして和歌を読むというのがあった。お経を読むというのもあるのだが、浮舟は和歌の方が良かったみたいで。それまでの女の君は男から来る和歌の返歌として和歌を詠む(受け身の形で)のだが、浮舟は自己対話として和歌を詠むのである。文学の始まりである。

我かくて憂き世の中にめふるともたれかは知らむ月の都に


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