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お膳立てが出来てやっと結婚する夕霧の巻

『源氏物語 33 藤のうら葉』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)

平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第33帖「藤のうら葉」。一途な想いをこれ以上邪魔できないと、内大臣は雲井の雁と夕霧の結婚を認めた。宴に招き、その夜二人は結ばれた。内大臣は誠実な婿だと喜び、源氏も一念を貫いた息子に満足した。明石の姫君の入内が決まった。紫の上は付添役を実母・明石の君に譲った。二人の母は初めて会い、互いを認め合うのだった。

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もう前半が終わったのかと思ったらここまでが前半のようだった。それも夕霧がぐずぐずしていたせいだった。やっと夕霧と雲居雁が結婚するのだが、あっさり行かない。それは当事者よりも親の意向が大きく左右するからだった。

夕霧と内大臣とのわだかまりを解決しなければならないのは、通い婚だからか。二人で独立すればそういうこともないのだが親の家に通っていくのだから建前上歓迎されるようにしなければならない。それで夕霧よりも内大臣が折れた(和解を望んだ)ということで決着が着く。光源氏が面目が立ったと褒めるのだが、夕霧も一人前になったということなのだろう。そこまで親の影響力がある時代だったのも子供にとっては大変な時代だったのだ。

「藤のうら葉」とタイトルとなった歌は、内大臣の頭中将(柏木)に託した夕霧への手紙から(藤の苑の誘い)

(内大臣)
わが宿の藤の色濃きたそかれに尋ねやは来(こ)ぬ春の名残りを
(夕霧)
なかなかに折りやまどは藤の花たそかれ時のたどたどしくは

ここまでが前半で、この後から後半に成る展開なのは明石の姫君の入内があり。生みの母である明石の君が後見役として宮廷内に入るのだ(ただ藤壺の君が苦労したように身分の違いで苦労する)。そして、光源氏も准太上天皇(じゅんだじょうてんのう)になるのだから、ここが頂点として見ていいのだろうか?確執だった内大臣との仲も解決したようだし、もう引退するしかないのか?


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