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隣は何をする人ぞ的なイタリア映画

『3つの鍵』(2021/イタリア/フランス)監督ナンニ・モレッティ 出演マルゲリータ・ブイ/リッカルド・スカマルチョ/アルバ・ロルヴァケル/ナンニ・モレッティ/アドリアーノ・ジャンニーニ/エレナ・リエッティ

解説/あらすじ
ある夜、建物に車が衝突し女性が亡くなる。運転していたのは3階に住むジョバンニとドーラの裁判官夫婦の息子アンドレアだった。同じ夜 2 階のモニカは陣痛が始まり、夫が長期出張中のためたった一人で病院に向かう。仕事場が事故で崩壊した 1 階のルーチョとサラの夫婦は、娘を朝まで向かいの老夫婦に預けた。後日、認知症の老夫と娘が行方不明になりルーチョは娘に何か起きたのではと疑念を持ち始める。

不幸な目に会うアパートの住人の群像劇。いきなり暴走車が人をはねてアパートに突っ込むシーンから始まる。事故を起こしたのがそのアパートに住む弁護士夫婦の息子で酔っ払い運転だから情状酌量の余地もなく、刑務所行き。母親はなんとかしようとするのだが父親が許さない。親子間のこじれた関係。

その車を突っ込まれた家族の娘を老夫婦に預けるのだが、そこのお爺ちゃんがボケてしまって、娘と行方不明。公園で倒れている爺さんと看病している娘を発見するのだが、父親が娘がいたずらされたと不審感を持ち、老人に怪我をさせてしまう。住民同士の神経戦のようなトラブルになる。老夫婦の孫娘がちょっと小悪魔的で娘の父親を誘惑する。

出産したばかりの女性は夫が出稼ぎ労働者で兄とのトラブルを抱えて、犬猿の兄弟だった。兄が不動産詐欺事件を起こして、幼い娘と暮らしている所に逃げ込んでくる。そこに夫が帰ってきてすったもんだがあり妻は家出してしまう。

つの家族が人間関係でストレスを負う現代社会の悲喜劇。笑えるところもあるのだが、悲劇的部分もあり、その強弱の付け方が上手いイタリア映画。出産と死という対比とか、5年ごと(5年が2回)の娘の変化とか時間経過も面白かった。留守番電話の夫の声の録音に電話する妻とか泣かせポイントも高い。最後フェリーニ的なダンスの行進シーンもいい(フェリーニのオマージュっぽい)。

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