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プーチンのウクライナ侵攻の意図を伝えるプロパガンダ映画になってしまった

『オリバー・ストーン オン プーチン』(アメリカ/2017)監督オリヴァー・ストーン 出演ウラジーミル・プーチン/オリヴァー・ストーン/セルゲイ・チュディノフ

【ストーリー】
ハリウッドを代表するアカデミー賞®受賞映画監督オリバー・ストーンは、
約2年以上にわたり、現ロシア連邦第4代大統領ウラジーミル・プーチンに、いくつものインタビューを重ねた。
インタビューには、テーマもリミットもない。プーチンのプライベートな部分、政治家としての部分、共産主義の下で過ごした幼少期から
権力を握るまでにのぼりつめた現在まで。また、彼が築いてきた米大統領との関係性など、様々な事柄について語りつくされている。
ストーンは、アメリカがプーチンを敵視する中、アメリカ人インタビュアーとして、あらゆる出来事に対するロシア及びプーチンの考えの真相を徹底的に追求している。
全4回で構成された“平和と善意”を求める濃密なドキュメンタリー。

オリバー・ストーンがロシアがウクライナに侵攻する前に、プーチンにしたインタビュー。当時のプーチンの考えがよくわかり、今回のウクライナ侵攻の契機になったのも予想出来たかもしれない。今見るとプーチンのプロパガンダのように思えてしまうが、オリバー・ストーンはプーチンの独裁政治には釘を刺している。この時期にはまだウクライナに侵攻するとは考えていなかったのか?

オリバー・ストーンがプーチンに賛意を与えているというより、危険さを十分承知していたからアメリカへの警告だったと思う。軍事費が世界総量よりも多いのがアメリカだとか、NATOについてはプーチンの論理はもっともだと思うのだ。笑えるのはプーチンに『博士の異常の愛情』を観せたこと。

第三話。ウクライナ民主化革命、ロシア・クリミア併合。民主化革命は、NOTOによる勢力拡大を狙ったアメリカの策略だとするプーチン。ロシアを敵国とすること。それまでは友好国だった。クリミア併合は、ロシア人を守る為に軍隊がいた。選挙でロシア編入が決まった。

ここは強引すぎる。選挙もロシア人勢力の軍隊の中で選挙だったし、八割ロシア編入支持って。まあ、ウクライナの民主化運動がプーチンの危機感を強めたのは否めないけど。ウクライナ人は民主化を求めていた。他国干渉は免れない。オリバー・ストーン、プーチンに丸め込まれるの第三話。

この後に『ウクライナ・オン・ファイヤー』というロシア側を正当化する映画を撮っている(監督は違う人だったがオリバー・ストーンのインタビューを元にした映画)が、今は見られなくなっている。紛らわしいタイトルの『ウィンター・オン・ファイヤー』はウクライナ側の民主化運動を捉えた映画で両方見ると面白い。

消される『ウクライナ・オン・ファイヤー』
 https://www.chosyu-journal.jp/column/23047

ウクライナ・ヤヌコーヴィチの豪邸で調べれば、彼のやってきたことが一目瞭然だとウクライナ研究家の岡部教授が言っていた。金のトイレとか。それは汚職政治の結果なのだ。小プーチンというのに相応しい。こんなのにオリバー・ストーンが騙されてしまうのか?陰謀論恐ろし。

もともと陰謀論は頭に描いたストーリーがあって、それをパッチワークしているから事実と思い込んでしまうのだった。空虚な部分を妄想で埋める。ストーリーが完成すればいいのだから。いかにもオリバー・ストーンのドキュメンタリーはそんな感じ。最初にウクライナの歴史を示してナチス寄りだったとか。

話を『プーチン・インタビュー』(これが原題)に戻して、第四話。オープニング高級ホテルから出てくるプーチンを待ち構えるオリバー・ストーンの演出にプーチンがなかなか出てこない。英語が通じないのかと思うオリバー・ストーンだが二人分のコーヒーを持って現れたプーチンのしたたかさを感じる。この演出力がプーチンというか、ロシアのプロパガンダの歴史だった。民衆に近い指導者の構図。

オリバー・ストーンはプーチンがまさか戦争を仕掛けるとは思っていなかったのだろう。ただ独裁政治が長期に続くことは危ぶんでいた。長期政権も国を思えばというプーチンの意見だ。ロシアともどもその覚悟だった(崩壊するときは一緒)。どんな手も使ってくるのは、独裁者プーチンの生き残りのためだった。



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