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源氏物語

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源氏物語の感想など。与謝野晶子訳Kindleから。
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2023年3月の記事一覧

終わらない『源氏物語』、夢の続きは

『源氏物語 下 』(翻訳)角田光代(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集06) 感想 光源氏が亡くな…

やどかり
1年前
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現実の枕落とし

『源氏物語 56 夢の浮橋』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 最後はあっけない幕切れ。まあこれ…

やどかり
1年前
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浮舟、寂聴さんになる

『源氏物語 55 手習 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 浮舟が生きていたとは出来すぎ。小説…

やどかり
1年前
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人形(ひとがた)としての浮舟

『源氏物語 53 浮舟』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 52帖の『東屋』で重要なことを書き忘…

やどかり
1年前
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どうしても弁の尼がしゃしゃり出てくる

『源氏物語 52 東屋 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) だんだん系図も複雑になってきて系図…

やどかり
1年前
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弁の尼は幻術士だったのか?注目すべき噂の人がいよいよ登場か?

『源氏物語 51 宿り木』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) まだ六の君の全貌が明らかにならな…

やどかり
1年前
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尼になった弁は、中の君の存在を希薄にする

『源氏物語 50 早蕨』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 「早蕨」の題名は、冒頭から阿闍梨が山菜を中の君に送ってきた和歌のやり取りからである たいして重要な歌にも思えないが匂宮の手紙が見事な字で香りも素晴らしいものだったのに、こちらは字も下手で田舎の野草なのである。ただ後に京(宮中)に行く命運にある中の君には宇治(故郷)の想いを残していく伏線にもなっている。 薫は中の君を上京の使命のために宇治に来ていたが大君のことが忘れられず、さらに中の君が大君に似てくるので、匂

弁の弁解を紫式部は聞くわけがない

『源氏物語 49 総角』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 「総角」という題は、古今集の紀貫之の…

やどかり
1年前
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薫は「燃あがる緑の木」だった

『源氏物語 48 椎が本』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 「椎本(しいがもと)」の題名の由…

やどかり
1年前
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橋姫の霊が夕霧を迷わせた?

『源氏物語 47 橋姫 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) ここからラストまでが「宇治十帖」と…

やどかり
1年前
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あの人は今の玉鬘

『源氏物語 46 竹河 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 玉鬘は「玉鬘十帖」があるように光源…

やどかり
1年前
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光源氏の孫の代は家系図が複雑すぎて

『源氏物語 45 紅梅』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 按察使大納言(紅梅大納言と呼ばれた…

やどかり
1年前
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匂い爭い

『源氏物語 44 匂宮』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 最初に光源氏を継ぐような美しい者は…

やどかり
1年前
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歌で存在感を示す晶子あっぱれ!

『源氏物語 43 雲隠れ』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) この短歌のみの章。紫式部の方は題名だけで本文はない。もともとなかったものと思われる。『まぼろし』ですでに光源氏は光をうしなったいた。『雲隠』とあるのだから隠れた(出家)したのであろう。アマテラスが岩屋戸に隠れるシーンを連想させる。神話では描いたがそれは、再登場するためでもあった。光源氏は再登場もままならぬ。むしろこの題名だけで十分暗示できるのだ。  晶子の歌は「ひかりみせねば」が秀逸か?「ば」は強調かな。ひ