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水沢文具店

安澄加奈(2017)『水沢文具店 あなただけの物語つづります』ポプラ社
安澄加奈(2018)『幸せを呼ぶ物語、つづります 水沢文具店』ポプラ社

ペンとノートをお買い上げの方、ご要望があれば話を書きます。オーダーメイドストーリー

商店街の中にある、古そうな見た目の文房具店。
その水沢文具店の店頭に、このような貼り紙がしてある。そのとおり、店ですきなペンとノートを買うと、そこにオリジナルのお話を書いてくれる店主がいる。
この文具店を訪れるさまざまなひとたち。みんなそれぞれ悩みを抱えて生きている。そして、店主の龍臣にオリジナルストーリーを書いてもらうことで、前をむこうともがいている。

ある日、水沢文具店を訪れたのは、小学校の教師をしている栞。
栞は小学校でクラスの担任をしているものの、教員採用試験には合格しておらず、講師として雇われていた。
そのことを快くおもっていない保護者がいることも知っていた。主任も、なかなか試験に合格できない栞に、教師をやめる選択肢をほのめかせてくる。
授業をしていても、児童たちはあまり栞のはなしを聞いてくれない。

じぶんに教師は向いていない。
そうおもいはじめたとき、栞は水沢文具店と出会う。

古そうな店構えだが、店内の文房具はすてきで、子どもたちが集まっていた。店主も、じぶんと同じくらいの年齢で、栞はこの店がすきになる。
そして、じぶんもオーダーメイドストーリーを書いてもらうことに。

こうして出会った店主の龍臣と栞の関係性が少しずつ、本当に少しずつ縮まっていく様子にときめく。
さまざまな事情を抱えたひとたちが、龍臣が綴る物語を読むことで、すこしずつじぶんの物語を変えていくすがたにもこころ動かされる。



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