濱野京子(2023)『金曜日のあたしたち』静山社

高校受験に失敗した。
勉強してきたし、模試ではずっとA判定だったのに、第一志望に落ちた。
わたしが受験するから、という理由だけで同じ高校をめざしはじめたいとこは合格したのに、わたしは選ばれなかった。

通うことになった高校には、まったく興味がもてなかった。
第一志望だった高校より偏差値が低いし、留学の制度もない。ほかにやりたいことを見つける心境になかなかなれずにいた。

ある日の下校中、駅前でプラカードをもって立っている高校生を見かけた。
その高校生は、じぶんが行きたいとおもっていた高校の生徒だった。
そのひとたちは、環境問題に取り組み、その危機的状況をひとりでも多くのひとに伝えようと活動していた。
普段は集まって勉強会をし、金曜日に駅前でスタンディングをしているのだという。

チラシを渡してくれた男子生徒が感じよく、環境問題に興味をもった。
また金曜日にその生徒たちに会いに行くと、やさしそうに見えた男子生徒から、じぶんの知識の浅さを指摘されて悔しいおもいをする。

しかし、言われたことは正論で、気候危機の問題は深刻だとおもい、さらに勉強を進めることに。

じぶんの居場所を見つけられずにいた高校生が、地球に起きている気候危機を知り、同世代のひとたちとその問題に取り組むことで、居場所を見出していく。
進路や恋愛の悩み、まわりの様子をうかがってじぶんの意見を言えずにいるもやもや、他人をうらやむきもち等、共感できる部分も多い。
じぶんが信じるもの、おもっていることを伝えるために、一歩踏み出す勇気をくれる本。

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