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広告より口コミの方が効果あるんでしょう?

お客さまと打ち合わせする中で、こんなお悩みを聞くことがあります。それは広告より口コミの方が集客に効果がある。そもそも広告をやる意味なんてあるの?というものです。

こういった質問には、広告も口コミも同じです、と答えます。

口コミ(UGC)の効果

口コミはマーケティングの界隈ではUGC(User Generated Content)と呼ばれます。企業ではなく、ユーザー自身がつくるコンテンツという意味です。

たとえばラーメンを食べて、そのおいしさに感動したユーザーが、グルナビや食べログなどの口コミサイトに投稿したり、自身のSNSに投稿したとします。その行為こそがUGCです。

純粋にラーメンの味に感動したユーザーの投稿には、一切の嘘偽りはありません。広告のような、商品自体をきれいに見せるための技術もありません。ですからUGCは信頼性が高く、非常に高い集客力をもちます。

UGCと関係なく伸びる広告市場

では、広告はもうUGCに駆逐されて、今後オワコンになっていくのでしょうか。

食べログは、2005年頃からサービスを開始しました。では2005年以降の日本の広告費を見てみましょう。

2022年時点での広告費は7.1兆円で、2005年の6.8兆円を超えています。(ちなみに2009年からの減少はリーマンショック、2011年は東日本大震災の影響です)

日本の総広告費の推移
https://advanced.massmedian.co.jp/news/detail/id=9892

さらに2023年では7.3兆円となり、広告市場はさらなる成長を示しました。これはインターネット広告の成長によるものです。

2023年時点、インターネット広告費は3.3兆円。全体市場(7.3兆円)の約45%にも及びます。

2023年日本の広告費
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0227-010688.html

ではUGCの隆盛とは関係なく広告マーケットが成長しているのは、なぜなのでしょうか。

口コミも広くいえば広告

たとえば美容業界は、リクルート社が運営する「ホットペッパービューティー」に掲載してもらうことで、集客をします。掲載には掲載費が必要ですし、その費用は会計上「広告宣伝費」として計上されます。

飲食店も同様です。「食べログ」や「グルナビ」などのプラットフォームメディアに掲載費を支払い、店舗情報を掲載します。

ユーザーはそのプラットフォーム上で検索したり、レビューをしたり、来店予約をします。その中のレビューがいわゆるUGCといわれるものですね。

つまり広告費を支払って、その結果、UGCというオマケがついてくる感覚です。

ではプラットフォームがない事業者は、どうやって集客しているのでしょうか。たとえば近隣地域にチラシを配布するとしましょう。そういった場合は、新聞社へ折込料という広告費を支払い、新聞紙へチラシを折込してもらいます。すると新聞を購読している世帯へチラシを配布してもらいます。

YOUTUBEに動画を出稿したい場合ですと、YOUTUBEというプラットフォームを運営するGoogle社に掲載費を支払います。

こうして見てみると、UGCか広告か、という二択になるのではなく、UGCも広告・宣伝活動の一部であることがわかります。ちなみにSNSでのUGC投稿については、長くなりますので後日また別の記事にします。

良い口コミをしてもらうには

当たり前の話なのですが、良い口コミをしてもらうためには、良い商品やサービスをすることが必要ですよね。

こういった議論は、結局、当たり前のことに行き着きます。ですから個人的にUGCというコトバは、流行り言葉にすぎないと思っています。

また食べログでフェイクの口コミ(いわゆるサクラ)の掲載するサービスが流行したこともあります。もちろん取り締まりの対象にはなりましたが、こういったグレーな施策はいたちごっこ。今後も形を変えて、詐欺的な手法で生存するかもしれません。

ですが、店舗商売の売上はおもにリピート顧客からうまれます。いくらニセのレビューで集客をしたとしても、良いサービスができなければ、2回目以降の来店につながりません。ザルに水を流し続けているようなものです。

ですから、いかに良いサービスをするか、いかにお客さまに喜んでもらえるか、ということに注力している事業者の方が、自然と生存しているように思います。

楽して集客できるほど、商売は甘くないですね。日々精進です。



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