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『稲荷書店きつね堂 ヨモギたちの明日』発売!

『稲荷書店きつね堂』シリーズ第五弾が発売いたしました!
今回で完結となりますので、お店とヨモギの行く末を見守ってやってくださいませ。
完結は寂しいのですが、この後に何かがあるかもしれません……(こそっ)

さて、書店員でなくなり専業作家になってから、もう三年以上経ちました。
その間、出版業界を取り巻く状況は刻々と変化しており、私の経験をもとにしたリアルに近い書店モノは、これで最後かなと思いました。

もちろん、書店モノを封印するわけではありません。
ですが、私が知っている書店と現実の書店は、日に日に乖離していくのでしょう。
今後、私が書店モノを書いても、在りし日の幻想にしかならないのです。

古巣には定期的に顔を出しているのですが、書店員にとって必需品であった大きいハンディはアプリとなり、PHSではなくスマホを持たされるようになったそうです。
セルフレジは、レジの回転を速くするためにセルフレジが欲しいとぼやいていた私がいなくなってから導入されました。
古かった建物は、時間をかけて改築するそうです。

感染症の蔓延のためもあってか、数多くの書店さんが閉店されました。
若い世代では、本の買い方を知らない方もおられるようです。
『本屋さん』が身近でなくなり、本もCDと同じ道を辿りつつあるのかもしれません。
書店という場所が好きな私にとって、これほど悲しいことはありません。
ネットショップのAIは私が購入したものに似たものを勧めてくれますが、開拓したことのない場所へは連れて行ってくれません。
書店は、まだ見ぬ世界への入り口です。
お店で平積みや面陳になっているからと何気なく手に取ったものが、魂に響くものであったことは数知れません。
書店は読者と作り手を繋ぐ、開かれた場所なのです。
そんな場所が少しでも長く、数多く続くように。
そういった想いが込められた本シリーズを、この読書の秋に楽しんで頂ければと思います。


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