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「82年生まれ、キム・ジヨン」

「82年生まれ、キム・ジヨン(著 チョ・ナムジュ, 訳 斎藤真理子)」これは小説だが、刺激的なホラー映画のようだった。所感を書いてみる。
わたしが知る限り、過去では当たり前だと思っていたような、背すじが寒くなるほど、ささいで強烈な違和感が綴られる。自分も知らない過去のトラウマをこじ開けられるような苦痛にも似た力を感じた。ただ、時おり登場する主人公を力づける登場人物たちに、サイダーのような清涼さを覚えた。それで多少癒された。そして、この小説はハッピーエンドでは無い。本を閉じた時、生温かさを持って自身の手元に流れ出してくる。はじめはホラーだと思っていた寒気が、読了時には、暗い淵からの勇気の身ぶるいとなっている。世代・性自認問わず・機会があったら読んでみてほしい。社会の潮流も含めて、読んで良かった、そんな1冊。

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