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ダジャレとポテサラ

あーもう夕方か、早いな。今日も一日終わってしまった。

気がつくと窓の外はもう真っ暗です。

カーテンを閉めた後、晩御飯どうしようかなと考えながら冷蔵庫を開いてみると、ベーコンと卵が目について、私はポテトサラダを思いつきました。キュウリが欲しいところですが、買いに行くのが面倒なので妥協です。

まずはゆで卵を作るか。

水を入れた鍋を火にかけ、お湯が沸いてから卵を2個、そっと入れました。
好きな硬さは大体9分。スマホのストップウォッチ機能でカウントしようとアプリを立ち上げたところ、目まぐるしく秒数がカウントされていたので、私はとてもびっくりして、慌ててそれを止めました。


6:16:19.90


お昼にパスタを茹でた時にストップウォッチ機能を使って、どうやら止め忘れていたようです。

そうか、パスタを茹で始めたあの時から、もう6時間16分19.9秒経過したのか。

何だろうこのちょっと切ない気持ち。

時計で時間を見るよりもストップウォッチで時間の経過を知る方が、人生は有限だなと感じてしまう不思議さがそこにはありました。

6時間なんて足早に、あっという間に私の元を過ぎ去ってしまう。
このまま気がついたらもう、人生も店じまいになっているかもしれない。

ストップウォッチの数字を見つめていると、確かにそこに存在した6時間というものが、とても儚いもののように思えてなりません。

私はパスタを茹でていた自分を思い出し、そこから現在に至るまでの時間に思いを馳せました。

それは突然の事でした。


虚無。

なんか、虚無。

突然強烈な虚無感が私を襲ってきました。

その間、私は確かに生きていました。
仕事のメールをしたりオンライン会議をしたり、時にプライベートのLINEをしたり、たくさんの人と繋がり、コミュニケーションを取りながら仕事と人生をおし進めていたはずです。

打ち合わせで時に笑い、悩み、考え、友達や家族からのラインに喜び、寝息を立てる猫たちの姿に心癒され、確かにそこにはたくさんの喜怒哀楽がありました。

なのに、この虚無感。

ソファからじっとこちらを見つめる寝起きの猫ちゃんズの瞳にすら、虚無が宿っているように思えてなりません。こっちを見るなー!

私は卵を茹でながら、この6時間に起こった出来事やそこで繰り広げられたコミュニケーションに、何の価値もなかったような感覚に襲われました。

何これー・・・

虚無?

キョム・・・

キョム・・・

キョム・・・


キョムニケーション・・・・


ダジャレできてもーた。

危うくドツボにハマりそうな自分をよみがえらせてくれたのは、つまらないダジャレでした。

つまらない自分の、“ダジャレ考えるの大好き能力“(好きなんか)も、たまには役に立つものです。

アホらし。

フッと1人笑いながら気を取り直し、ベーコンを取り出そうともう一度冷蔵庫を開けました。

私の大好きな桃屋のメンマが目に止まりました。

メンマ・・・

メンマ・・・

メンマ・・・

あかん、何も思い浮かばん。

ベーコンを取り出した後、野菜ボックスにあるジャガイモを手に取りました。

ジャガイモ・・・

ジャガイモ・・・

あかん、何も思い浮かばん。

ジャガイモの隣には玉ねぎがありました。

タマネギ・・・

タマネギ・・・

あかん。


既にお気づきでしょうが、私はダジャレに取り憑かれ、もはや途中から自分が何をやっているのか、何をしたいのかがわからなくなっていました。


こんな調子で、

コショウコショウ・・・

シオシオ・・・

マヨネーズマヨネーズ・・・

だめだ何も出てこないー!とうなされながらできたポテトサラダは100点満点でした。


名付けて、ポテキョムサラダ。


うんそれは0点。


#日記 , #エッセイ , #ポテサラ , #ダジャレ , #虚無感 , #ストップウォッチ , #リモートワーク , #ポテトサラダ




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