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澄む絵 Vol.2
買い物から帰宅する途中、ある旅行会社の前を通り過ぎようとした時に1枚のポスターが目に飛び込んできました。
そこには大きな縦組みの文字で、キャッチコピーが書かれていました。
あのね、いまね、しまね
ホウ、島根県の観光PRだね、と。
韻を踏んでるね、と。
そっかそっかそっか、面白いね。
なんかこう、海沿いを歩いてたら知り合いから電話がかかってきて「あのね、今ね、島根なの」って伝えてるみたいなシチュエーションが目に浮かぶな。
きっと電話の向こうで相手はこう言ってるでしょうね。
「え?島根!?」
ってね。
私の中でも島根県の玉造温泉や出雲大社などは、いつか行きたいところの1つとして候補に上がっています。
あれ?
じゃあさじゃあさ、関西弁なら
あんな、いまな、
ってなるね…なるよね?
ほな、どこが当てはまるん?
どこが韻踏めちゃうわけ?
北海道、青森、秋田、岩手…
北から南まで47都道府県名を1つ1つ確認してみましたが「な」で終わる都道府県は存在しませんでした。ショックでした。
アイデアを形にできなくて悔しかった。
アイデアを捻り出してそれを突き詰めた先に叶わない現実が見えた時、傷つきながらもじゃあ次の一手と別の道を探す。
大なり小なりそんな事を繰り返す仕事をして生きてきましたところ、そういった思考が身についた先に、このようなどうでもいい事で傷つく弊害が出てきました。
突き詰めなくてもまぁいっかと思えるものが欲しい。
それは時に料理だったり、お菓子作りだったり姿形を変えながらそれすらも自由で、自分なりの満足で終えられればそれでいいと思う何かです。
最近はタブレットで絵を描くことがとても楽しく、時間があっという間に過ぎてしまいます。
レイヤーが使えますので下書きにいくつもの線を重ねた後、そこから何となく自分が感覚的にいいなと思う線をなぞるように紡いでいきますと、好みの絵が浮かび上がってきます。
ただひたすらに心地よいと思う感覚に従うのみですので、うまく描けないとか思うように表現できないとか、そういった生みの苦しみのようなものからは一切解放され、ゆらゆらと穏やかな凪の海に身体をゆだねているような時間です。
不思議なことに、リアルなスケッチブックに鉛筆やペンで描くとなると急に腰が重く、上手く描かなければと自分にプレッシャーをかけてしまうので、しばらく遠ざかっています。
タブレットならすぐに修正出来る、すぐに白紙に戻せる、何度だってやり直せる、そんな技術に支えられて気軽に楽しめるのです。
人生もできればそんな風だと生きやすい。
絵は今日も、澄んでいます。
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まぁいっか
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都道府県もはや無視。
どうしても韻を踏みたい気持ちが強すぎて、完璧なステップ・シークェンスに負けないぐらい綺麗にスベってる。
絵は今日は、澄んでいませんでした。
#日記 , #エッセイ , #絵 , #イラスト , #趣味 , #プロクリエイト , #現実逃避 , #韻を踏みたい
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