コント:寿司の配達

佐藤:何かチラシ入ってきてたんだよな、
   そうそうこれ、寿司の配達っていう。
   電話してみるか。もしもし、オヤッサン寿司ですか?
大将:てやんでぇい! べらんめぇい! 寺でHEY!
   オヤッサン寿司は江戸前でぇい!
佐藤:あの、威勢が良いのはいいんですけども、
   寺でHEYってなんですか? 寺なんですか、そこ?
大将:寺にあるテレビくらい歴史のある寿司屋でぇい!
佐藤:えっ、そちらのお店って
   今月オープンしたってチラシに書いてありますけども。
大将:意気込みの話でぇい!
佐藤:じゃあ自由か……まあそれはいいとして、
   2000円セットの配達お願いします。
大将:具は何がいいでぇい?
佐藤:いやおでん屋さんの言い方じゃぁないんですよ。
   具というかネタですね。というかネタ決められるんですか。
大将:1から3まで決められるでぇい。
佐藤:10ではないんですね。じゃあ白身魚多めでお願いします。
大将:そういう、専門的な言葉は、ちょっと、知らないでぇい……。
佐藤:えっ、白身魚って分からないですか?
大将:始めたてでぇい……。
佐藤:じゃあ鯛やヒラメを多くしてください。
大将:そういうのもちょっと分からないでぇい……。
佐藤:それだとどうやって仕入れているんですか問題になってきますよ。
大将:友人に釣ってきてもらったモノを握ってるんでぇい。
佐藤:そうですね、理にはかなってますね。
   あの、何の区別なら付きますか?
   エビと魚の違いは分かりますか?
大将:見たら分かるでぇい。
佐藤:いや味まではいかないぞという尊厳じゃぁないんですよ、
   それ普通ですから。
大将:まあエビは堤防じゃ釣れないから、
   うちはエビゼロでやっているでぇい。
佐藤:あっ、エビ無いんですか、
   チラシの写真にはエビ入っていますけども。
大将:その写真はもらった写真でぇい。
佐藤:写真が分け与えられるなんてことあるんですね。
   じゃあ誇大広告じゃないですか。
大将:専門的な言葉は分からないでぇい……。
佐藤:いや語彙不足で逃げ切ろうじゃぁないんですよ。
   大人のすることじゃないですよ。
大将:オヤッサンはまだ何も知らない5歳児という感覚でやってるでぇい。
佐藤:いやアイドルの自己紹介ギャグじゃぁないんですよ。
   じゃあ誇大広告の説明しますね。
大将:でぇい。
佐藤:相槌が5歳児じゃないですけども。
   えっと、まあ誇大広告というモノは
   実物よりも良く見せている広告ということです。簡単に言うと。
大将:でもオーラはそんな感じでぇい、エビのオーラを放つ寿司でぇい。
佐藤:エビのオーラはエビからしか出ないですよ。
   仮に鯛からエビのオーラが出たとしても、一貫の形で出ないでしょ。
大将:イッカンってなんでぇい?
佐藤:寿司の数え方も知らないということは、
   江戸前寿司のなんたるかも知らないでしょ。
大将:それは知ってるでぇい、江戸前寿司、
   つまり江戸時代の前の時代の寿司だでぇい。
佐藤:東京湾で取れた魚で握る寿司のことですよ。
大将:いやそれは違うでぇい、
   江戸時代の前の時代の寿司、つまり酢飯バズーカでぇい。
佐藤:何ですか、酢飯バズーカって。
   江戸時代の前の時代にバズーカ無いですよ。
大将:玄関開けると同時に酢飯が飛び散るバズーカを放つサービスでぇい。
佐藤:いや食べ物で遊ぶ旧時代の発想じゃぁないんですよ、
   もういいです。ここの寿司屋で頼みません。
大将:ちょっと待つでぇい!
   18番目の客でついに購入かの瀬戸際でぇい!
佐藤:いや購入する直前まで持ち堪えていたじゃぁないんですよ、
   全然僕の心そこまでいってないですし。ほら、誰も買ってないし。
大将:サービスするでぇい!
   玄関開く前から酢飯バズーカを放つでぇい!
佐藤:家の扉が酢飯でベタベタになるだけじゃないですか。
   何のサービスになっているんですか。もう切りますからね。
大将:最後に! 最後にでぇい!
佐藤:何ですか、一体。
大将:サービスって実際どういう意味の日本語でぇい?
佐藤:英語です。

(電話を切る音)

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