【NIPPON笑顔疲れ】漫才台本集
【1回戦/枯れたチューリップ】
かれ:漫才だし、コントに入ろうか。
ニコ:いいよ、それで本当の笑顔になれるのならば。
かれ:わー、枯れたチューリップのゆるキャラだぁ。
ニコ:茶色みがすごそう。
かれ:中から見たことない虫が誕生しているー。
ニコ:生命だね。
かれ:……ちょっと、ニコさんはそのゆるキャラしてよ。
ニコ:いいよ、それで本当の笑顔になれるならば。
かれ:わー、枯れたチューリップのゆるキャラだぁ。
ニコ:やぁ、何故か紫蘇の匂いがしてるよ。
かれ:早くも夏を感じるぅ。
ニコ:食べたらダメだよ、チューリップは淡い毒。
かれ:正しい知識をありがとう! ……本当の笑顔になれた?
ニコ:まだ始まったばかりだから、この旅路は。
かれ:もしかしたら一生付き合っていくものなのかもしれないね。
ニコ:そう、本当の笑顔ってそんな簡単になれないものだから。
かれ:枯れたチューリップよりも、元気なチューリップのほうがいい?
ニコ:そこは関係無い。
かれ:それなら良かったぁ、僕が枯れたチューリップのほうが好きだから。
ニコ:君は君の笑顔を目指したほうがいいよ。
【2回戦/料理人】
かれ:今日もコント漫才をしようか、僕、料理人しますで、客を。
ニコ:分かりました。それで本当の笑顔になれるならば。
かれ:枯れたチューリップの煮つけです。
ニコ:チューリップって少し毒があるのでは?
かれ:毒の成分を自力で抜きました。
ニコ:恐れ入りました。でも枯れていたら美味しくないのでは?
かれ:熟成している、という意味ですね。
ニコ:それなら最初からそう言ったほうが客に優しいよ。
かれ:でも枯れたチューリップというインパクトが欲しくて。
ニコ:料理人もタイトル付けに大変ですね。
かれ:そうですね、今やバズらないと無価値ですから。
ニコ:現代病ですね。
かれ:現代病と言えばニコさん、本当の笑顔になれましたか。
ニコ:まだまだ難しいですね、顔の筋肉がもう壊れているんです。
かれ:じゃあ心の中では既に笑っている、とか?
ニコ:いいえ、心の中も全然笑っていません。
かれ:まだダメですか……。
ニコ:短期的に見られても焦るだけ、長期的に見てほしいです。
かれ:分かりました。今後もゆっくりコント漫才やっていきましょう。
ニコ:ありがとうございます。
【3回戦/ドライフラワー】
かれ:表向きには漫才師です。よろしくお願いします。
ニコ:そうだね、表面上の漫才師だね。
かれ:本当はニコさんに微笑んでほしいだけなんだけども。
ニコ:いつも有難うございます。
かれ:というわけでコントしようか、ドライフラワーのお店をします。
ニコ:そうしましょうか、それで本当の笑顔になれるのならば。
かれ:枯れたチューリップをドライフラワーにしました。
ニコ:枯れる前のチューリップを使えばいいのでは。
かれ:枯れたチューリップのほうが暗い気分の時、いいでしょう。
ニコ:泣きたい日は泣くという手法なんですね。
かれ:ニコさんは泣きたい日はありますか?
ニコ:無いですね、笑顔にしかなりたくないです。それなのに。
かれ:それなのに?
ニコ:いつも心の奥底で泣いています。
かれ:それは何でですか?
ニコ:分かりません。笑顔になりたいだけなのに。
かれ:難しいですね、枯れたチューリップのドライフラワーです。
ニコ:今渡されても、ちぎりたいだけですね。
かれ:それでいいんです。ちぎって下さい。子供のように。
ニコ:子供は残酷ですよね、それが未来の自分だと分かっていないから。
かれ:詩的ですね。
ニコ:そんなことありません、笑顔になりたいだけなのに、どうして。
【準決勝/おまじない】
かれ:NIPPON笑顔疲れです。よろしくお願いします。
ニコ:でも、みんな笑顔疲れしていますよね? みんなそうですよね。
かれ:僕は結構元気なんですよ、見てて下さい……ゲプゥ!
ニコ:わっ、人前でこんな大きなゲップ……失礼元気な人だ……。
かれ:というわけで僕、枯れたチューリップを使った、
笑顔になるおまじないあるので、やってあげますよ。
ニコ:おまじないで変わることは良くて心だけですよね?
かれ:まあ、実際のところは心だけですね、気休めというか。
ニコ:笑顔は心だけじゃなくて、体も大切なんです。
もう満身創痍なんです。
かれ:体調管理は大丈夫ですか?
ニコ:それは大丈夫ですが、ただただやつれていくんです。
かれ:じゃあ心の問題かもしれないので、おまじないしましょう。
ニコ:分かりました、それで本当に笑顔になれるのならば。
かれ:枯れたチューリップ、甘噛みして下さい。
ニコ:チューリップって毒があるのでは。
かれ:甘噛みするだけなら大丈夫ですよ、ちょっとクサイけども。
ニコ:そうですね、枯れ臭がすごいですよね、
生(ナマ)終わりみたいな。
かれ:やっぱりやってくれませんか。
ニコ:なんせ枯れたチューリップなんで、おまじないですし。
かれ:でもよりどころはあったほうがいいですよ。
ニコ:いいですよ、もう何も感じませんから。ありがとうございました。
【決勝/サウナ】
かれ:枯れたチューリップを使ったサウナの熱波師になりたいので、
そういうコント漫才をしましょう。
ニコ:分かりました、それで本当の笑顔になれるのならば。
かれ:ではタオルの代わりに枯れたチューリップをバサバサいわせますね。
ニコ:どういう状態なんですか?
かれ:枯れたチューリップを編んでタオル状にしています。
ニコ:どうしてそこまで枯れたチューリップに執念を。
かれ:家がチューリップ農家なんです。
ニコ:結構単純だった。
かれ:いきますよ、バサバサバサー。
ニコ:枯れたチューリップの生土(なまつち)の匂いがする……。
かれ:この熱さがいいんですよー。
ニコ:生土(なまつち)感がすごい……。
かれ:元気になりましたか、笑顔になれましたか。
ニコ:やっぱり私の笑顔についての行動だったんですね。
かれ:そうですね、サウナでととのえば元気になるかなって。
ニコ:これはコント漫才の中ですし、
本当のサウナでも笑顔になりませんよ。
かれ:何でですか?
ニコ:サウナって元々元気な人が、もっと元気になるためのモノなので。
かれ:あぁ、そういうもんなんですか。
ニコ:常人はととのうとか無いです。ただ愛想笑いを浮かべるだけです。
サウナ常連組へ愛想ととのいをするだけです。
かれ:というと、本当の笑顔には。
ニコ:なれませんでした、いや私が悪いんですけどもね。
かれ:いやいや、どうも。