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豪雨の週末に

降り続いた雨が止んだ
空はどこを見ても灰色で
雨が止む理由をどこにも有していない

何度目だろう?届いた手紙を開いて読んだ
文字の隙間にあなたを感じたくて
もう一回、もう一度と、同じ場面を繰り返す

本当のことはわからない

この気持ちは執着なのかもしれないし
あなたのあなたは、いつだって複数形だから
———— けれど
今度だけはこれでいい
自分なりの読みかたで
あなたが愛されることを選んだように

あの子をじぶんに重ねてみたら
痛いくらいの愛がそこにあって
熱いものが頬をつたいこぼれた

ごめんね
本当はちゃんとわかっていたんだ

通り過ぎる車のワイパーが忙しく動いている
1つの傘を二人でさしてカップルが通り過ぎる
雨がまた、降り始めたようだ
ラジオのニュースが乾いた声で
川が氾濫しそうだと告げている
真っ黒な雲が空を覆い尽くし
雨音は激しさを増していた
不安を打ち消そうと飲んだコーヒーは冷めていて 何の慰めにもならない

あなたは今、どこにいるのだろう?

無事なのだろうか?

確かめる術もなく窓の外をぼんやり眺めて
虹がかかるのを待ちつづけていた


#散文 #散文詩 #思考