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4つの「ある」で変化を説明する

さあ,今日は何の話をしようか?
えっ,パルメニデスはもういいって?

そっかぁ。じゃあ,誰がいいかなぁ?
うーん,じゃぁ,エンペドクレスにしよう。
おお,そうそう,新しい登場人物だよ。

パルメニデスは,世界が本当の意味では「ある」とは言えない,と言ったんだね。
今は「ある」ように見える僕たちも,いつか年を取り,結局「ない」になっちゃう。

いやいや,もう同じ話は終わりだから。
「ふりかえり」をしているだけだから,ね。

これから出てくるよ,エンペドクレス。
うんうん,新しいよ。

エンペドクレスはパルメニデスのことを知っていた。
本当の「ある」は絶対に変化しないものなんだ。
だから,変化し続ける僕たちの世界は幻だ。
人間よ,だまされるな!ってね。

ではどうして世界はどんどん変化していくんだろう?
世界は幻のようなものだ,変化しているように見えても,それは人間の錯覚なんだ,本当は変化なんてしていないんだ。

こんな説明じゃぁ,納得できないよね。
エンペドクレスも,納得はできなかった。

それで,なんとか変化を説明しようとしたんだね。
さあ,君ならどう説明するだろうか?

えっ,質問はいいから早く答えて,って?
わかったわかった,答えなんか,本当は「ない」んだけどねぇ。
自分なりの説明が自分にとっての答えなんだよ。

うーん,じゃあ,エンペドクレスの答え方。
それは,「ある」は一つじゃなくて4種類ある,っていう解決方法なんだ。
うん。4種類っていうのは空気,火,水,土のことで,これを四元素って言う。
うんうん,君も知っているはずだよ。

ほら,だいぶ前になるけど,一緒に見た映画に「アナと雪の女王2」ってのがあったじゃないか。

え,覚えていない?
そうかもね,君は幼稚園児だったし,途中で「帰りたい!」って言い出したから最後まで見れなかったんだけど・・・

あの映画の最初の方に出てくる4種類の精霊がいたよね。
名前は忘れたけど・・・風の精霊,火の精霊,水の精霊,土の精霊の4つだ。

そうそう,火の精霊はサラマンダーっていうトカゲみたいなやつで,口から火を出すんだよね。

いやいや,世界は精霊が作ったっていう訳ではないんだ。
でも,あの映画,エンペドクレスの影響を受けているんだよ。

エンペドクレスの四元素は生き物ではないんだけど,絶対に変化しない「本当にある」ものの仲間なんだ。

もし「ある」が一つだけしかなかったら,世界は変化できない。
うーん,どう言えばいいかなぁ。
白い紙だけが「ある」のなら,何も変化は起きないよね。
でももし,白,黒,赤,青の4種類ぐらいの絵の具があったら,そこにいろんな絵を描くことができるようになる。

エンペドクレスは世界の変化を4色の絵の具で説明しようとしたんだ。
赤と青を混ぜると何色になるんだっけ?
そう,紫だね。
全然違う色になるよね。
これが変化だ。

絶対に変化しない4つの「ある」を使って,変化を説明しようとしたんだ。
変化を説明すること・・・これが化学だったよね。

・・・・
・・・・・

あ,もう寝てる・・・
今日は硫黄と鉄粉を混ぜて硫化鉄を作る,中学校で習う化学反応を思い出した。
そういえば,硫黄も鉄も元素だな。
ふぁ・・・僕も,もう寝よう。 おやすみ。

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