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つまみ食いキャリアのゆくえ

私は、何かを極めたことがない。
まあ「 I am 極め人」と名乗る人は世の中そう多くはないだろうし、言ってる人の8割くらいは「完全に理解した」タイプの人かもしれない。
それでもなんとなく、ひとつの道を突き詰めきれていないことが心のどこかでひっかかっている。

昔から器用貧乏というか、大抵のことはそこそこできるけど、ずば抜けているわけではなかった。
作家になりたいと思って出版社に持ち込んだけど、編集者から自費出版を薦められたり。
新卒で入った会社で全社集会の司会をしたら褒められたので安直にアナウンサーを志してみたけど、普通に数ヶ月で挫折した。
作家もアナウンサーも本当にすごい職業だなぁと仰ぎ見た空はやたらに広かった。

今までのキャリアで自分が身につけてきた知識は「つまみ食い」の側面が強い。一口食べて味は知ってるけど、一皿食べ切ったことはないって感じ。
だからこそいつか、ひとつのものを完食したい。胸を張って、私はこれができる人なんだ、と言いたい。
私はプロフェッショナルに憧れている。

そして現在。人事と、ライターと、カメラマンと、デザイナーと、広報をやっている。
……いや、どう考えてもつまみ食い!

しかもフリーランスで、5社と契約を結んでいる。
過去の私が聞いたら「ネバーエンディングつまみ食い人生なの?」と涙目になる状況なんだけれども、今の私はこの生き方をけっこう気に入っている。

複数の業務をしていると、本当に飽きることがなくて楽しい。
昔から文章を書くのは好きだし、筆がノらないときは写真加工をすればいい気分転換になるし、デザインやインタビューは面白いし、スカウトは勉強になる。
特にスタートアップ企業では急に「これできる?」と新しい挑戦の機会をもらえることも多いので、おかげさまで今も着実につまみ食いの範囲を広げている。

けれどもやっぱりこのままではプロフェッショナルになることはできない。
つまみ食いしている仕事のうち、完食対象をどれかひとつに絞ってキャリアアップしていかないと。
そんなふうに思っていたけれど、ある人がこう言ってくれた。

「採用広報を強化しようと思ったら、人事とライターとカメラマンとデザイナーを連れてこないといけないのが本来だけど、アオパンがひとりいればひとまずは解決だよね」

あ、そういう価値もあるんだ、と目から鱗だった。
興味のままにつまみ食いを続けてきたことが誰かの役に立つのなら、もはやこの雑食性は強みと言えるのかも、と思えるようになった。

書道をやってたから筆耕もできるし、教育実習行ったから人前に立つの抵抗ないし、ワークショップ大好きだから司会やファシリテーションもできる。
書くことも撮ることも作ることも喋ることも好きだし、他にもやってみたいことはたくさんある。
しかもそれぞれの領域にはまだまだ伸び代があって、挑戦のたびに成長を感じられる。
これってけっこうエキサイティングだ!

驚くほど美味しいこだわりの一品をお出しすることはできないけれど、私にはたくさんの味がある。
言うなればスキルのバイキング形式。中華もイタリアンもご提供しますのスタイルで働いて、もうしばらくはいろんな経験をしてみたい。

その中で、極めたい料理を見つけるのか。
はたまた最強のバイキングを目指すのか。
つまみ食いキャリアのゆくえはまだちょっとわからないけれど、自分自身、楽しみに思っている。

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