(詩)オクラホマミキサー

恥かしい人間だと
思っていた
生まれてこなければ
よかったと
ずっと思っていた

ぼくは
最低の屑で
どうしようもなく
恥ずかしいやつだと
汚いやつだと
思い続けていた

だから
ぼくの手も
けがれた薄汚いもの、
物、だと思っていた
誰も触ってくれる人なんか
いないと思っていた


小学校の運動会で
フォークダンスを
踊ることになった

生まれてはじめて
女の子の手を握って
フォークダンスの
練習をした時

ぼくの手に触れた
その女の子のほっぺたが
まっ赤になった

まっ赤に、なった

その子の手は
あかぎれで腫れていた


運動会の当日
フォークダンスの間
その子は
ぼくの手を
ギュッと握っていた

ギュッと強く
握りしめて、いてくれた

運動会が終わると
すぐにその子は
転校してしまった、けれど


あかぎれの手をした
女の子を見るたび
赤いほっぺた、思い出す
ギュッと
握りしめてくれた
指の感触、思い出す

オクラホマミキサーの
メロディも
もう思い出せないのに

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