(詩)冬が終わる場所

忘れられた場所
忘れられた花
忘れられた風
忘れられた
木々の木漏れ陽
忘れられた
冬の日の陽射し

忘れられた場所の
忘れられた者や物たちは
けれどそれでも
忘れられたなりに

それなりに
年をとったり
枯れたり
朽ち果てたりしながらも
何とかその一生を
まっとうする
ものなのでしょう

ただ物静かに
忘れられながら
忘れられたまま

それでも何一つ
文句など言わず
あなたに愛された過去を
懐かしがったりもせずに
ただ静かに時の流れ
季節の移ろいに身を任せながら
それでも案外
幸福そうな顔をしながら

生命とか
年月とかいうものは
それなりに流れ
そして去ってゆくものです
だからあなたは
何も心配しないで下さい

忘れられた場所
忘れられた花
忘れられた風
忘れられた
木々の木漏れ陽
忘れられた
冬の日の陽射し

わたしはあなたの
忘れられた場所で
ありたかった

ただそれだけ
今はもう
ただそれだけで
いいのです