(詩)忘却

海辺の
貝殻の中にたまった水は
世界でいちばん
小さな海です

それから
海に一番近い海です

波もちゃんと生まれます

そして海辺の
ほんとうの波が引いてゆき
やがて海辺の遠くに
打ち上げられて

もうすっかり
かわききった貝殻は


しずかに海を
忘れてゆきます

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