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マンガや物語を描いてみたい人にオススメの2つの練習方法教えます!

20年くらい前のことなのですが、
私は人に漫画の描き方を教えていた時期がありました。

自宅で小さな「マンガ教室」を開き、やがてカルチャーセンター等でも講座を受け持つようになり、通信講座も手掛けていました。
(今はしていません)

そのころはまだ「マンガ教室」なんて珍しかったので、
生徒さんはそこそこ集まってくれました。
二十歳前後の女性が多かったのですが、小学生からご高齢の方までさまざまでした。

プロを目指す養成講座というつもりはなく、手芸のように、趣味で
空いた時間を創作にあててもらえれば豊かな時間を過ごせるのではないかと思ったからです。
ですので、初心者の方でもどなたでも簡単に創作を楽しんでもらえる方法を、私は編み出しました!(と、言うとオオゲサですが)

所要時間は60分ほどですので、興味のある方はぜひ少しの時間、試しに集中して挑戦してみてください!
紙と鉛筆さえあれば誰でもできますよ!



4コママンガで自分の気持ちの伝え方を学ぶ


まずはじめに挑戦してみてほしいのは、4コママンガです。
それも、自分を主人公にしたマンガです。

今ではエッセイ漫画(コミックエッセイ)が爆発的に流行していますが、
当時(20年ほど前)はそれほど流行っているというわけではありませんでした。
漫画家が読者サービスとして、単行本の巻末にさらっとご自身の身の回りのことを4コマや短いページで描いているのがエッセイ漫画の始まりであると思います。(本編よりも楽しみな場合もありました)
現在では、漫画家に限らず一般の方でも気軽にエッセイ漫画を描いてブログで発表できるので、どんな人でも一度描いてみてほしいです。

「さて、何についての4コマを描こう」
と、おもっても、
「何を描いていいのかわからない」
「何も描くことがない」
「思い浮かばない」と
訴える人は案外多いものです。
あるいは、描きたいことがありすぎて、何から手をつけていいのかが
わからない…という場合。

私はまず、
「ここ一週間で起こった出来事で、印象に残ったことを3つ教えてください」
と指示します。
テレビで見たことでもいいし、噂で聞いたことでもいいし、
もちろん実際に体験したことでもいいです。
とにかく、最近、
「ビックリしたこと」「嬉しかったこと」「悲しかったこと」など、
自分の感情が揺さぶられた出来事を思い出してほしいのです。

「ひとつ」ではなく、「3つ」と指示するのがポイントです。
大抵、3つ目に調子が乗ってきていいネタを思い出すことが多いからです。

そしてその中のひとつを選んで4コマにしてもらいます。
(3つのネタをすべて詰め込んではいけません)
4コママンガの特徴は、1つの出来事を4段階に分けて伝えるということです。
4コママンガは「伝えたいことを伝える」とてもいい練習になります。

まず「何を伝えたいか?」から始まり
「どうやったら伝わるか?」
さらに、
「もっと自分らしく、おもしろく、印象的に伝えるためにはどうすればいいか?」
と考えを巡らせることができるようになります。

私はマンガに限らず、これはどんな人にも役に立つことだと
思っています。
「伝えたいことなんてない」
という人なんてこの世に一人もいないし、
自分の気持ちに正解も不正解も無いし、
気づいていないだけで、誰でも自分だけの意見、考え、感じ方があるはずだと思うのです。
それが個性というものです。


こちらは当時作った通信講座のテキストです。
右の女性が宝子先生、左の女性が生徒のよしこちゃんです。
(なにしろ20年ほど前なので…)絵柄もネタも古くてすみません…。
今みたいにクリスタなんて存在しませんので、
セリフはすべてワープロで打って、切り抜いて貼りました。

直接顔を合わさない通信の生徒さんとも、このテキストと
お手紙のやりとりだけで充分マンガの描き方を理解し、楽しんでもらえました。
思い出すと今でもほっこりする、とても良い思い出です。

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架空の物語の中で発見する自分

さて次に紹介する練習方法は、
ちょっとだけ心理学を使った方法です。

私は高卒なのですが、とある大学の通信教育部に在籍していたことがあります。それも20年以上前の話です。
通信なら誰でも入学できるし、安価です。
別に大卒資格がほしかったというわけではなく、ただ、
自分が知らないことを知りたいと思っただけで、
結局卒業はしていません。(途中でギブアップしてしまいました)

そこではじめて心理学を知り、学び、そのおもしろさに夢中になりました。
はじめてのスクーリングの心理学の授業で教えてもらったのが
TATという心理分析で、投影法の一つです。

一枚の絵を渡され、その絵から物語を考えるというものでした。
これがもう、めっちゃおもしろくてワクワクしたのです。

そのとき使った絵は、何かに悩んだ感じの男女の絵でした。

授業では何人かの人が当てられ、
その絵から浮かんだ独自のミニストーリーを発表しました。
それが、同じ絵なのにみんなそれぞれまったく違うストーリーを作ったんです。人によって、主人公が男性であったり女性であったり、
ちょっとしたお話なのですが、バラエティに富んでいて、
私はビックリしてしまいました。

だって、みんな漫画家でも小説家でもないのに、
こんなにおもしろい話を即興で作るなんて!


私は、できれば教室にいた人たち全員のお話を聞きたかったのですが、
その授業はTATはメインではなかったので、さらっと紹介するだけで終ってしまいました。
配られた絵も回収されてしまい、
「もっとTATの話が聞きたいのに!」とモヤモヤしてしまいました。

その後、偶然図書館でTATについての本を見つけたので、
嬉しくてじっくり勉強をしました。

投影法で有名なのは、ロールシャッハテストですが、
TATは、解釈が難しいため、心理の現場では定着せず、
現在でもあまり使われていないようです。
たまに心理学の本で数ページ紹介されるTATも、ぜんぜん、
さっぱりわけがわかりません。

でも、私は「これはマンガ(創作)に使えるな!」と
おおいに興味をもったので、
自分なりにアレンジして、マンガ教室でも使うことにしました。

おもしろいので、よろしければ、試しにやってみてください。


この絵を見て、簡単なストーリーを作ってください。

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ポイントは、登場人物が二人(一応男女ですが、男同士、女同士とも
見れるような絵にしています)とお酒です。

物語を作るヒント
〇誰と誰が何をしているところ?二人の関係は?
(登場人物に名前をつけるのもアリ)
〇ここはどこ?時代は?
〇主人公は何を考えている?
(悩みなどはあるか・これからどうしたいと考えているか)

これはあくまでも、私がTATを独自にアレンジして
創作の練習として考えたものですので、
心理検査というわけではありません。


友人同士で作ってみるのも楽しいです。
実は、心理検査ではないけれど、ちょっとした
心理テストになっているのです。


さてその答えは…

主人公の考えていること、
つまり「悩み」は、あなた自身の「悩み」です。

仕事の悩み、恋愛の悩み、人間関係の悩み、体の悩み、
隠し事をしている、
などなど、あなた自身の今一番関心のあることが
物語を通してあぶりだされたというわけです。

または、あなたの今一番乗り越えなければいけない課題です。

心理テストとしては、まあ、ただそれだけのこと
なのですが…

でも、私はこの心理テストに
創作のすべてが詰まっている、とおもうのです。

物語とは、架空の話、フィクションです。
でも、ぞのフィクションの中にこそ
本当の自分が現れるのではないかとおもいます。

エッセイ漫画で本当の悩み、本当の自分を
さらけ出すことは限界があると思います。
「これは自分」だということがストッパーになってしまう
からです。
でも、物語であれば、油断して知らなかった自分
までもが顔を出すことがあります。

それは何も怖いことではなくて
違う自分に気づけることなので、
とても楽しく、わくわくすることだとおもいます。

もしかしたら、知りたくなかったダークな自分を
知ることになるかもしれません。

でも、それを含めて「創作」です。
マイナスな部分、ネガティブな部分、嫌いな自分に
会うこともあります。
そんな自分も、どうか無視しないでほしいのが
私の願いです。

たとえば、どうしても好きになれない苦手な友人が
いる場合があります。
でも、「なぜ苦手なのか」とよく考えると
実は自分にも似たような部分があるから…
ということがよくあります。
「苦手だ」「嫌いだ」とただ排除するだけでは
自分自身に気づきも成長もありません。
(無理に仲良くする必要もありませんが)

人生も、人間関係も、難しい。
自分自身と向き合うことも、難しい。
でも、そういう一筋縄ではいかないのが
人生というものです。

そんな人生の、すべてを含めて
愛することが、創作なのでは?
と私はおもうのです。

ちょっと説教臭くなってしまってすみません。
あまり難しく考えなくても、ちょっとしたヒントを
きっかけに、創作の楽しさを知ってもらえれば
嬉しいです。

4コママンガだけでも、挑戦してみてください!
マンガが描けると楽しいですよ!

「マンガセラピスト山田宝子のストーリーマンガ入門」は
全12巻です。
気が向いたら、また紹介します。

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