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セックスアンドザシティの中にすべてがある

書いてみた

「セックスアンドザシティ」は、言わずと知れた大ヒット
海外ドラマシリーズ。私も20年ほど昔にTSUTAYAのレンタルビデオで
出会ってシーズン1から6まで何回通して観たことか。

現在も、U-NEXTで繰り返し観ている。こんなに何回観てもおもしろいドラマは他には見当たらない。

「セックスアンドザシティ」の良さとは?
それはキャラクターたちが魅力的だとか、女性がはじめてセックスについて
堂々と声をあげた、とかファッションがイケてるだとか
いろいろとあるんだけど、私が最も「すげぇ」と思うところとは、
1話の中に詰め込まれたネタ、情報量の多さなのです。

1話30分のドラマ。CMなどをはさむだろうし、正味20分程度しかない
ストーリーの中で、これでもかっ!というほどのリアルで斬新なネタが詰め込まれており、ラストではすべての伏線が回収されてまるで落語のようにストンと落ちる。
その「落ち」とは、皮肉であったり笑いであったりすることもあるけど、
「雰囲気」がとても良い。

その「雰囲気」は本当にオシャレで色気があって、まさに90年代のマンハッタンを(知らんけど)彷彿させる。
(シーズン1第1話のラストはまさにそれ。こんなラスト、誰も作れないよ)


これは、上質でオシャレなマンハッタン落語だ!
と、私は思った。


と、いうわけで、私はストーリー作りの勉強の意味も込めて
何回も何回も繰り返しこのドラマを観ている。
(ほら、古典落語を学ぶ人も繰り返し師匠の落語を聞いたりしてるでしょ)

その中でも私が毎回「うう~ん!やられた~」と唸ってしまう
最高のエピソードのひとつは、
シーズン2第13話「カケヒキは恋の攻略法?」です。

あらすじは、前話で、再びビックと別れてしまったキャリーが
失恋の痛手からなかなか立ちなおれず
仕方なくセラピーに訪れるという話。

セラピーの効果なんて信じていないキャリーは
どこかカウンセラーの先生ことを小バカにしている感じ。
そのカウンセラーに「あなたは男を見る目がない」と
言われてしまいショックを受けます。

セックスや恋愛のコラムを書いてまあまあ人気の
キャリー・ブラッドショーですよ?恋愛の教祖とも
よばれてるんですよ?
そのキャリーに男を見る目がないですって?

と、まあそんな感じでキャリーもモヤモヤ。

そのモヤモヤの中には、
当たってるけど、認めたくない、っていうか
なんで私が原因なわけ?
別れた原因はビックにあるはずなのに…と
いう理不尽な気持ちも含まれていたような。

そんな中同じカウンセラーの元に通う
いい感じの青年セス(ボンジョビ)と出会います。

瞬く間にセスと恋に落ちるキャリー。
(この辺がもう、マンハッタンですし!ていう感じ)
いつもの恋愛と同じくすぐに一夜を共にしてからの
ベッドでの会話がおもしろい。

キャリー「あなたはどうしてセラピーに通ったの?」
セス「一回寝るとその子に興味なくなっちゃうんだ」
キャリー「…………」

キャリーがカウンセラーから言われた「男を見る目がない」という言葉が
ずしーんと落ちてくる瞬間でした。



50歳をとうに越えた今の私が見ると
「でしょうね」とか「そらそうやろ」と
覚めた感じで納得してしまう笑い話のようなのですが、
これをはじめて見た時は30代だったし、ものすごく
考えさせられた。
セスは本当にいい感じの青年だったし、
この人と付き合って失恋を乗り越えられたらいいのに!と
本気で思った。
でも、それは現実ではない。
セスは一回こっきりのゲストで終わった。
30代のころの私は、自分が描いていた女性向けマンガのように
「恋愛で幸せになれる」とか
「男性が女性を幸せにしてくれるの」だとか
心のどこかで信じてたのかな。
(そんなものは幻想です笑)

キャリーの繰り返している恋愛とは、
しょせん、心の隙間を
一時的に埋めるものでしかなかったのだ。
なんか、切ない。でも…まあそれでもいいじゃない。
人生に失敗や間違いはつきものですし。

「セックスアンドザシティ」のおもしろいところは、
恋愛ドラマでありながら、恋愛のあさはかな部分も
あからさまに描いているところ。
それがシニカルなんだけど、
悲観的でもないし…。
う~ん、なんなんでしょう。この魅力。
似たようなタイプのドラマも他にあるっちゃあるけど、
ここまで夢中にはなれない。


やっぱりマンハッタン落語だからかな(笑)
1話完結のお手本になります!



























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