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なんとせう_博論日記(2024/06/02)

雨の中バイト先に向かって歩いていたら、しっとりとした甘い濃厚な香りが漂ってきた。クチナシだ。季節の移り変わりを感じる。

先週土曜日に調子を崩し、今日まで8日間。海面スレスレを飛行していたのが週末近くなってやっと機首が上向いた、という風情である。

一歩踏み込んで言語化してみると、「海面スレスレを飛行」とは「帰宅して倒れ込むように眠り、朝も遅刻ギリギリまで布団の中にいて、通勤中は行きも帰りも過食と浪費を爆発させながら、でも無遅刻・無欠勤で職場の人に特に心配をかけることもなく仕事をした」ということになる。
「機首が上向いた」の方は「生活の骨組みである"コーヒーを淹れること"、そして"お味噌汁作り"を金・土・日と続けられている」ことを指している。

曜日ごとに振り返ってみよう。


:朝バイトから直帰、一日眠る。
:国立民族学博物館での勉強会に参加(仕事は有休取得)。 
  15時半に帰宅して即、眠る。

日本庭園前から民博へと向かう道
特別展「日本の仮面--芸能と祭りの世界」のメインを張る鹿児島県硫黄島のメンドン

:仕事を定時に上がって予約していた歯科に滑り込む。右奥歯に仮歯が入った。
  帰宅後、噛み合わせが合わず頬の内側を噛んでしまい口内炎になる(麻酔のせいで噛み合わせが合っていないことに気づかず「問題ないです」と先生に伝えてしまった)。
  悲しい気持ちで夕食も取らず眠る。
:毎週の朝読書会を完全に忘れてすっぽかす。
  昼休憩時に終業後のエネルギー残量がゼロに近いと予想、毎週の指導教員の先生との論文ミーティングをキャンセルする旨連絡する。
  仕事後、疲れて早く帰りたいのに気持ちが落ち着かないせいで超満員のバスに乗ることができず、50分歩いて電車の駅へ。正常な判断ができない。
  帰宅して即、眠る。
:昼休憩時、仕事の先輩との雑談の中で何かを掴む。
  頭が働き始めて、終業後に立て直し作業をする気になり、定期を利用して普段使わない駅へ赴きカフェ作業(過食・浪費の行動がなじんでしまった最寄り駅周辺を使いたくなかった)。
  荒れ果てたカバンの中を整理し、家計簿と日記をつけ、下書きのままになっていた先週のnoteをアップして帰宅。まともに眠る。https://note.com/aono_jerry/n/n9afab288dc0f

:論文の〆切延長をメールで申請する。
  終業後、相方とサイゼリヤで夕食を食べ、ポケモンセンターに寄る。ドオーというポケモン(オオサンショウウオに似ている)のふわふわのぬいぐるみを見つけ、「どおー」とむやみに発声する。相方が「ぬおー」と返してくれる(ヌオーというポケモンもいる)。
  「どおー」という音は日々ままならないやるせない気持ちによく馴染むし、「どおー」とのんびり鳴くとなんとかなるような気持ちもするし、鳴いたら「ぬおー」と鳴き交わしてくれるので、ちょっと愉快な気持ちになってほっこりする。まともに眠る。
:朝2時に起床。コーヒー&お味噌汁ルーティンで身体と心を整えてから、古本市出店の準備をする。10時頃に店(といっても長机半分)の設営をすることになっている。当日になるまで上記のように本当にそれどころじゃなくて、ほぼ準備をしていなかった(釣り銭の準備程度)。
  大急ぎで、選書→箱選び→小道具(本立て、テーブルクロス、飾り等)選び→パッキング→手荷物準備(貴重品、文具、お買い上げ用ビニール袋等)をする。
  コインロッカーにスーツケースを預けてスーパーの朝バイトをクリアし、古本市会場へ。

  怒涛の5時間、コミュニケーションの渦の中で揉まれる。18冊、締めて6,090円の売り上げ也。母の本も出品したので売り上げを折半、経費を引くと229円の黒字(自分用に本を買ったので実質赤字)。
  帰宅後、夕食を母と食べて、まともに眠る。

そして今日が日曜日。朝バイトののち、ドトールで立て直し作業をして、こうやってnoteを書いている。

いやはや。
私は何をやっているのだろう。

月曜日の勉強会に関しては、非常に貴重な機会だった。しかも抽選に当たったからこそ行けたわけで、後悔はしていない(でもコンディションは悪かったから家でずっと寝ていたくて、かなり布団から出渋った)。

土曜日の古本市に関しては「この日には論文の修正がさすがに終わっているだろう」という見通しを持っていた一月半前に声をかけられ、「最近フィールドワークもできていないしやってみようか」と思って決めたことだった。
実際によいフィールドワーク(例えば、古本市による地域活性化プロジェクトに対する)になったと思う。一時期、日用品やコーヒー、古本・貸本の移動販売車を運転していろんな農山漁村に赴き、ライフヒストリーの聞き書き・フィールドワークをするお仕事ができたらいいなと思っており(コンペ用に軽い計画書も書いた)、シンプルに自分が行くのが好きだからという意味でも、古本市に一度出店してみたいと思っていた。今回、その夢が叶ったわけである。
さらには、修士課程の時の指導教員の先生が出版した書籍の編集者さんといろいろお話しさせていただいたり、メールでしかやりとりのなかった出版社の方にもご挨拶できた。いずれ博士論文書籍化の相談ができるかもしれない。
言わずもがな、高校生からかなりご年配とお見受けする方まで幅広い年齢層のいろんな方ともお話できて楽しかったし、総合的に見て、参加してよかったと思う。

そう、「とってもよかったね」ということが週にふたつもあったのだ。同時に過食・浪費・過眠をしながらかろうじて自分を保って日常をざく編みしている。複雑な気持ちだ。いやはや、なんとせう。

論文が進んでいさえいたら、もやもやはないのだけど。進んでいないんだよなあ。

どうしたらよいかな。
仕事と並行して論文を書くというのは、当たり前ながら体力的に厳しいところがある。
でも、経済的に仕事はやめられない(というか、今の職場以上に好条件な職場なんてないのではないかというくらい恵まれているので、むしろ手放したくない)。

いろんなことをシャットダウンして論文に集中した方がよい、その方が早く済んで、今後訪れるだろうチャンスを掴めるのではないか、という意見には大いに頷くところがある。
でも、「こんなことやってみませんか、お願いできませんか」というお話に身を開くことを気質上やめられない(書評の仕事が来たのだが、書評は出版後あまり時間が経たない内がよいという性質を持つということと、書き手として私の名が上がった経緯が納得できたので引き受けた。業績にもなるし…)。

解決策は、朝の作業時間をちまちまと積み上げて、ゆっくりでも論文作業を進めることしかないように思う。
でも、疲れると眠たくなってしまうし、眠りすぎると日々のリズムが崩れて過食・浪費でバランスをとるようになってしまう。体重が重くなって体の可動域が変化してきて気持ち悪い。

なんとせう。

だけど。

86日も寝込まずに活動していることが、昨年の自分を振り返れば快挙と言ってよい。今のキャパシティの最大限で、すでにやれることはやっているのかもしれない。

とすれば、論文を書くために私はどうしたらよいのだろう。

……

これにはきれいな答えがないように思う。毎日毎日手探りで、途切れそうに思えても継続して、なんとかかんとかやっていくしかない。
私は博士論文を書く。

だから、お風呂に入ることを大事にする。明日も、コーヒー淹れてお味噌汁作る。大丈夫。なんとかなる。できる。

<To Do>
・投稿論文2:修正(6月30日〆切)
・書評(News letter用、カジュアルでよし):(6月30日〆切)
・投稿論文1:再査読修正(〆切日相談中)
・システマティック・レビュー:二次チェック中
・博論本文:
     9月(予備審査委員会立ち上げ願い)
  11月予備審査?
  1月口頭試問?



  


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