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青乃
2021年5月27日 16:10
玄関先に屈んで鉢植えに水を加えていると、妙な心持ちになった。立ち上がり、屈んで居た場所から少し離れる。違和感の跡を辿る。地面、素焼鉢、土、植物と順に目線を上げていくと、その奥にある葦簀の真ん中に、葦簀と一体化した枯れた色の蟷螂が、しがみついていた。掛けっぱなしの葦簀はすっかり乾き切っていて、蟷螂は合わせたように同色である。そっと近づきあらゆる角度から、無遠慮に、見る。毛羽立った細い足の
2021年5月18日 11:27
仕事場の清掃を業者に依頼した。当日、現れた二人の清掃員のうちの一人は、なぜかすこぶる無愛想であった。今時珍しい、と不思議に思いながら、ひとまず、作業を任せて、私は別室で仕事の続きをする。仕事場の壁は薄いので、清掃員同士の声は筒抜けである。どうやら社内で話がうまく通っておらず、彼は急遽仕事を押し付けられたらしい。その押し付けられた仕事が私の仕事場の清掃だった。彼は無愛想というより、不機嫌なのだ。