薄氷の訪れ



これは僕の近所に住む

香苗おばさんの若かれし頃の話



彼女の名前は

長谷川 香苗


僕と同じ
田舎産まれである




田舎産まれ特有の
産まれ育つもの皆が
顔見知りであり


幼い頃から
助け合うような


そんな田舎暮らしをしている


香苗は
少し離れた
高校に通う


というのも
皆高校に行くのであれば
少し離れた高校しか無いからだ


朝は早く
自転車を漕ぎ
無人駅の改札をくぐり
電車に乗り
隣町の高校まで通うのが当たり前だった




春の訪れを知らせる
薄氷の頃
まだ川には薄く張った氷が残る季節



田舎なこともあって
若干都会よりも
気温が涼しくもあり
肌寒い季節



世間的には
春の訪れ3月下旬といったところだ



そんな中
朝早くから香苗は自転車を漕いで
電車に乗り継ぎ
学校に通うのだ


それも慣れた
高校3年生の時


都会から引越して
高校生活の残り一年を
この学校で過ごすことになる


とある男子高校生が
転校してくるのだ



彼はのちに
香苗の初めての彼氏になり
そのまま香苗の旦那となる男


佐々木 正晴


彼との出会いが
香苗の人生を大きく変えていくのだ

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