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奈良のコスモス寺でノスタルジーにランデブー

奈良県に通称「コスモス寺」と呼ばれるお寺「般若寺(はんにゃじ)」がある。コスモスの名所だとニュースサイトで目にして以来、ずっと気になっていた。

コスモスの秋の見頃は10月〜11月だという。10月26日、前日の雨で散ってしまったかもという心配があったけれど、お寺のブログには見頃だと書いてあったので、「今がチャンス!」とばかりに行ってみることにした。

兵庫から奈良まで、阪急線→JR環状線→近鉄線と乗り継いで約1時間30分。ちょっとした小旅行気分になる距離だ。

近鉄奈良駅に降り立つと、駅構内にある売店の半数以上のシャッターが閉まっていた。お寿司や和菓子のお店がわずかに開いているだけで、少しうら寂しく感じる。これもコロナの影響だろうか。

駅のターミナルから般若寺まで、バスに揺られること約10分。奈良はバス停ごとの間隔が短く感じる。途中、窓から奈良公園の鹿が見えて、久しぶりに見る鹿にテンションが上がる。けれど周りの乗客は特別窓を注視しているようには見えない。地元の人が多いのか、毎日見てたらそりゃ鹿にもノーリアクションになるよなぁ、なんてことを思っているうちに般若寺に到着する。

同じ般若寺目当てと思しき乗客の後をついていってみると、お寺の名前が書かれた手書きの看板が見えてきた。なんというか、手作り感あふれるお寺だなぁと思う。

敷地内に足を踏み入れるとまず駐車場があり、ほのぼのとした雰囲気のなかでおっちゃんが車を案内している。

受付で拝観料を払い門をくぐると、目の前には一面のコスモス畑!白、ピンク、濃いピンクのコスモスが咲き乱れ、お寺の本堂は花に埋もれているように見える。秋晴れの青空と花のコントラストが美しい。

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コスモスは意外と背が高く、私(身長156cm)の胸から頭くらいの背丈がある。花畑の中の道に入ると、大抵の人は埋もれて見えなくなるくらいだ。

花から花へミツバチや蝶が飛び交い、私たち参拝客も花から花へ歩き回る。そういうところは人間も虫とあまり変わらないな、なんて思う。

お地蔵様、観音様の石仏、石塔とコスモスの組み合わせが楽しめるのは、お寺ならではだ。

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コスモス鑑賞を楽しんでいると、案の定昔のことを思い出した。

コスモスは、私にとってちょっぴり特別な花なのだ。

幼稚園の頃、コスモスの絵を描いたら担任の先生が「花びらのギザギザがちゃんと描けていて上手いね」と褒めてくれて、とても嬉しくて得意な気持ちになった。それ以来、コスモスの花が好きになったのだ。

このエピソードがなぜか記憶に残っていて、今でもコスモスの花を見るたびに思い出す。なんでもない出来事かもしれないけれど、私にとっては絵を描く自信もちょっぴりついた、大切な思い出だ。

先生は今、どうしているだろうか。などと過去への思いをめぐらせながら、本堂へ足を進める。

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本堂の周りにはいわゆる”インスタ映え”スポットが設けてあり、ガラスの器に色付き石を沈めて水で満たし、コスモスの花を浮かべたオブジェが飾られている。水面に浮かぶコスモスの花は一味違い、艶っぽくて綺麗だ。

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本堂で本尊八字文殊菩薩像や不動明王坐像を拝ませていただき、もう一度コスモス畑をぐるりと回る。

ノスタルジックな気持ちになったからだろうか。いつまでも花畑の中にいたいような気持ちになった。

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なに、縁があればまた来れるだろう。

満たされた感覚を確認し、お腹も空いたので腹ごしらえをしに奈良の街へ繰り出すことにした。



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