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ホールデンがスタンド・バイ・ミー【読後感想】乗代雄介『それは誠』

サムネかタイトルのとおりだよ。『それは誠』は、2つの足し算だった。
本作はホールデン・コールフィールドが、スタンド・バイ・ミーしていた。
という話なんだよ。我ながら的を得ていると思う。けっこう自信がある。

2023年
 シビレル本
 純文学
 85点
 4.0h

顔はこんなだ。結果は『ハンチバック』が獲ったが、本作はこの前の芥川賞候補作だった。

で、高得点でしょ。なんなら90点でもいいとさえ思っている。この本は、4時間で読み終わる。初読のさい、2日かけて読んだけど、70点にした。

さすがに70点ってのは、低すぎるような気もする。だけど読み始め、驚くくらいつまらないと思ったんだ。でもね、後半にかけてよくなった。すごくよかった。だけどね、それでもあまりいいとは思わなかった。だけど、もう一度読もうと思った。そういう気にさせられたんだ。そしたらビックリだ。今度は、初めからよかった。読み終わる前から、2回目だから話はぜんぶ分かっていたが、それでもすごくよかった。内容も、なんてことはないんだけど、どうしてだろうか、とてもよかったんだ。

それで、僕は読んでいるときにホールデンが話していると思った。それと、『スタンド・バイ・ミー』を思い出したんだ。

あのホールデンだよ、世界一有名な主人公だと思っている。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は不朽の名作、かつて少年だった全ての人のバイブルだった、あの小説の、彼だよ。愛おしいんだ。

誠が、彼に重なった。

映画はね、仲良し小学生4人組が死体を探しに行くという話で、とくだん何も起こらない。ただそこには、青春があった。

それとね、近いんだよ。高校生のホールデンがさ、孤独の誠が修学旅行にかこつけて、大好きなおじさんに会いに行く。独りで行くつもりだったけど、色々あって同じ班のやつと一緒に行くことになった。それだけの話なんだけど、よかった。

この記事を書く前に『スタンド・バイ・ミー』を約10年ぶりに観た。いい映画だった。よかった。80点にした。だけど、たぶん小説の方が面白いのではないだろうかと思う。今度、スティーブン・キングを読んでみようと思った。そういえば、彼の作品も、いつか読もう読もうと思ったままだった。いい機会だ。また積本を増やすことにしよう。


『それは誠』


ほんと、最高だった。これだから純文学は面白い。ストーリーなんてなくたって成立している。山も谷も不要で、いや、もちろんまったくないとは言わないが、ほとんどない。でも、すごくよかった。誠を含め、キャラがよかった。これは、『スタンド・バイ・ミー』のゴーディー、クリス、テディ、バーンと同じ。『それは誠』では誠と大日向と蔵並と松。一緒だ。そして誠がゴーディーというより、ホールデンだったんだよ。

だからかもしれないが、よりよかった。というより、僕はホールデンが好きなんだろう。

話はこう、誠がね、修学旅行を思い出して、小説を書くんだよ。この点でも『スタンド・バイ・ミー』と同じ。面白いのはさ、誠のへそ曲がりなところで、あえて傍点をつけるだとか、そういうことをわざわざ書くんだ。それがとてもよかった。

またね、あの最後、最高だったよ。僕も小説を書くんだけど、ああゆう終わり方はいいね。素直にそう思った。

ふわふわした感想なんだけど、どうしたってこうなると僕は思っているよ。要はさ、ここがよかっただとか、あのシーン、あのセリフね! とか、そういうのを語り出したら、それをアウトプットするのは骨が折れる。ただじんわりと感じたんだ。感じることができたんだ。前も『風の歌を聴け』の感想でも同じようなことを書いたが、分からない人には分からないだろう。そういう類の小説だ。でも、よかったら是非。彼も、先日読んだ千葉雅也さんも、近いうちに芥川賞を獲るんだろうな。やれやれまいったな。ライバルが強すぎる。

いい小説だった。これも、買い小説だった。乗代雄介さんのまた違う作品を読んでみたいと思った。

千葉雅也の『デッドライン』についての記事も貼り付けておく。よかったらこちらも是非♪♪

久しぶりの投稿になった。これも、2週間も前に読んだ本だっていうのに、まいったな。もっと書きたい。ああ字慰を書きたい。でも、やっと少し緊張もほぐれ、もう少し更新頻度をあげることはできるだろう。そして、何よりみんなの記事を読みに行きたい。ほんと、切に。それではまた!

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