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最近、観た映画 (2022/07)

最近観た映画の個人的感想を綴りたいと思います。


リトル・フォレスト

 五十嵐大介さんによる漫画を映画化した作品ということらしいです。映画は、『夏』『秋』『冬』『春』の4部作。東北の小さな集落・小森に住むいち子の生活 (主に食生活) を四季の流れとともに描いた作品。自給自足のような生活をしているいち子の、田畑で米や野菜を育て調理し食べる姿、地元の人との交流などが丁寧に描かれています。栽培・調理における知恵をいち子の言葉で解説するような形で進んでいくので、栽培・調理の経験が少なくても多くてもとても楽しめると思いますし、「そうなんだ~」「なるほど!」と心の中で相槌をしながら鑑賞しました。映画の雰囲気も優しい感じで好きだし、生活の中でも特に「食べるもの」にとことんフォーカスした作品ということでは、珍しいタイプの作品だと思うのですが、「こういう映画もあるんだ。いいな~」と思いました。「そこにあるものと知恵だけを使ってうまく調理する」ということで言えば、作品の背景はかなり違いますが、アニメ映画の「この世界の片隅に」を思い出しました (主人公のすずが、少ない食料配給の中で知恵を使って無駄なく調理する場面が描かれている)。四季と食べ物と生活を丁寧に映し出した作品です。


子供はわかってあげない

 主人公の朔田美波と門司くんの交流から始まり、美波が幼い頃に別れた父親を探しあて会いに行くというストーリー。予想に反していい感じのギャグ映画でした。特に作品の前半に言えることなのですが、作品の鑑賞者を全力でくすぐって笑わせようという感じではなく、3割くらいのいい具合に力が抜けている空気感の笑いの方向性で、「フフッ……」としてしまうシーンが多かったです。美波と門司くんは、ピンポイントで趣味・趣向が合致していて、周りからは歪に見えるであろう自分というパズルのピースは、この人との時間のために歪だったんじゃないかというほどに面白い時間が流れていきます (当の美波本人は最初からあっけらかんとしているようには見えるけれど)。 美波に関しては、みんなが泣いている場面や変なタイミングで笑ってしまう癖があり (気持ちはわかる!) 、門司くんも昔から美波を知っていたんじゃないかという感じの受け止め方をするので、二人の独特な世界が出来上がっていてさらに面白いです。あと、作品の中に人を否定したりあからさまに軽く扱おうとするような人が登場しないので、気持ちよく見やすい作品だと思います。


すばらしき世界

 主人公の三上は、長い間、服役していた元殺人犯。短気な一面はあるけれど、まっすぐで優しく、さまざまな壁にぶつかりながらもなんとか社会の中で生きようとしている……というストーリー。作品の中で三上は、何人もの「やさしい人」たちに出会いますが、それは本当に奇跡のようなものなのだと思います。最初は戸惑った反応を見せても、芯が優しいから三上も優しい人間だと見抜けてしまう。三上はそういう奇跡のような出会いを繰り返すことができたけど、最後にたった1日の「奇跡じゃなかった日」が訪れてしまいます。いわゆる"社会のレールから外れてしまった人”にとっては、これだけの奇跡を繰り返しても、日常を守ることも難しいし、壊れるときは簡単に壊れてしまうと考えたらとても悲しいことだと思います。「異常」に見えるものを極端に排除しようとすることが普通になってしまっている現状の怖さを感じるし、そういう目で見られる人の生きづらさを新たな角度から見ることができる作品だと思います。




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