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森の奥で開かれる秘密のパーティー【伝書鳩パーティー】


鳩の娯楽 〔超ショートショート〕


「なんにもわかっちゃあない」
ハトは雇い主には聞こえないように不満を漏らした。

「あいつ以外は」

その伝書鳩は以前の雇い主のことを思った。
「あいつはそれほど切実だったんだ」

ハトの思いの先に、ある男がいた。
男は伝書鳩パーティーの会場付近に倒れていた。定期開催されるこのパーティーは、伝書鳩にとって一番の娯楽で楽しみ。
どの鳩も、今にも息絶えそうな男を見ないふりして我先にと会場に入っていった。

男は、たまたま目があったハトに話しかけた。
「いい子だ。少しだけ話を聞いて。僕の持ち物は全部キミにあげるから。
どうか、これをある女性に届けてくれないか」

そう言われて、ハトは男の周りをぐるりと一周歩いた。
「わかったよ」

ハトは男から受け取ったメモを足にくくりつけ、ある女性の元へ飛んだ。
幸い、場所はすぐ近くだった。生まれたばかりの赤子を抱いたその女性は、メモを受け取るとその場に泣き崩れた。

伝書鳩は男の元へ戻った。
男は地面に伏して動かなかった。

伝書鳩は、男のズボンのポケットから電子タバコを取り出した。
「俺と好み一緒じゃん」

ハトは満足して、ノリノリの音楽を鳴らす伝書鳩パーティーの会場へ入っていった。





#毎週ショートショートnote
に参加しています。今週のお題【伝書鳩】×【パーティー】で書かせていただきました。

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