うつ症状は男女で違う?【論文紹介】
久しぶりに論文紹介をします。今回の研究は「うつ症状のつながりが男女で違うか?」を検討したフランスの研究です。
うつ症状は、憂鬱や悲しみ、ポジティブ気分の低下といった気分状態、睡眠の不調や疲労といった身体症状、人生失敗だらけ、私はダメ人間だ、などといった考え方の症状など様々な症状の組み合わせで生じます。
こういった症状が結びつきあって、うつ症状は形成されます。例えば、睡眠不足になると気分が悪くなりますし、気分が悪いとネガティブな考えが出てきやすくなります。
そういった症状の結びつきが性別によって違いがあるかを今回の研究では調査されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165032724003732
この研究では、うつ症状を測定するアンケート項目の回答を個々のうつ症状(悲しみ、睡眠障害など)としてとらえ、その項目間の結びつきの強さを可視化するネットワーク分析という手法で解析を行いました。約20万人の成人に調査を行っています。
その結果わかったことは以下の通りです。
ー「悲しみと抑うつ気分」は、男性と女性のうつ病のネットワークにおいて最も中心的な症状であり、これらの症状の活性化がうつ症状全体を発生させるあるいは維持させる可能性がある。
ー男性では、「人生は失敗だった」という考えがポジティブな感情の低下を導き、それ以外のうつ症状を引き起こす可能性がある。
ー男性では「泣くこと」が病的なレベルでのうつ病と関連する可能性があるが、女性ではこの関連は認められない。
ー女性では、「物事がうまくいかない」という考えが、集中困難を引き起こし、「抑うつ気分」の発生・維持に寄与する。
ー女性では「睡眠の問題」が病的なレベルでのうつ病と関連する可能性がある。
うつ症状については男女で中核的な部分は共通していました。一方で、性別役割やジェンダー規範、態度が性差に影響している可能性もあるかもしれません。
もちろん個人差がある話ではありますが、お知り合いの方で上記のような症状がある場合には少し注目してお話を聞いてみるのも必要かもしれません。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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