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依存症の心理的メカニズム【依存の心理学】

今回は、依存症の心理的メカニズムについて、さらに掘り下げていきましょう。

なぜ人は依存症になってしまうのか、その心の中で何が起きているのかを理解することは、依存症への理解を深める第一歩です。

報酬系の役割

人の脳には「報酬系」と呼ばれる部分があります。

これは、食事や運動、友達と遊ぶなど、生きていく上で大切な行動をしたときに快感を感じさせる仕組みです。

しかし、薬物やギャンブルなど、依存性の高い行動や物質は、この報酬系を通常以上に刺激します。

その結果、一時的に強い快感や満足感を得ることができます。

たとえば、友達と楽しく遊んでいるときに感じる幸せな気持ちも、報酬系のおかげです。

しかし、薬物を使うと、その快感はもっと強くてすぐに得られるため、脳がそれを「もっと欲しい」と感じるようになります。

快楽原則と耐性

人は自然と快楽を求め、不快を避ける傾向があります。

これを心理学では「快楽原則」と呼びます。

依存性のある物質や行動は、一時的には快楽を提供しますが、時間が経つにつれて、同じ快楽を得るためにはより多くの量や頻度が必要になります。これを「耐性」といいます。

例えば、最初は少量のアルコールで楽しい気分になれたとしても、だんだんとその量では足りなくなり、もっと多く飲まなければ同じ効果を感じられなくなります。

これが耐性がついた状態です。

そして、依存

耐性がつくと、その物質や行動なしでは不快な症状が出るようになります。

これが「依存」です。

例えば、カフェインに依存している人がコーヒーを飲まない日があると、頭痛がしたり気分が落ち込んだりします。

この不快な症状を避けるために、またコーヒーを飲む、というサイクルが依存症の特徴です。

依存症は、脳の報酬系の過剰な刺激、快楽原則への追従、耐性の発生といった心理的メカニズムによって引き起こされます。

これらを理解することで、依存症の予防や治療につながる手がかりを得ることができます。

自分や周りの人が依存症に悩んでいる場合、専門家のアドバイスを求めることが大切です。

次回は、依存症と共存する精神疾患についてお話しします。

それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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