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僕の昔話

僕は幼き頃、とうもろこしが大嫌いでした。
ナス、貝、パンと並び、給食で出たらアウトの素材四天王の一角。
僕の時代は昭和~平成初期。
もちろんお残しは許されませんでした。
間食するまで何時間も座ったまま、吐こうが泣こうが終わることはありません。

土曜日の半ドンは得に悲惨です。
絶対にパンが出るので、日によっては夕方くらいまで給食を食べていた事もあります。
非常に憎き思い出でした。

年齢を重ねるにつれ好き嫌いはなくなり、ナス以外は得に嫌いなもののない大人になりました。
しかし、嫌いではなくても好んで、進んで食べようとは思わなかったレベルに留まっていたのはとうもろこしでした。
理由としては、まあまあ高い、調理しにくい上に食べにくい、といった感じです。
食べにくいのが一番ですね。
そこまで美味しくないものが、さらに食べにくいとなれば、進んで食べる必要は全くありません。
しかも、祭りにも海にも行かないタイプなので、とうもろこしとエンカウントする機会もなかったのです。

そんな感じで人生を歩んで来た僕ですが、先日近所の農家の方から野菜をいっぱい頂けるという奇跡みたいなイベントが起こりました。
ナス、ジャガイモ、玉ねぎ、トマト、どれも傷ありですが味は間違いない品質。
とてもありがたい事で、これらをどうにか出来るだけ美味しく頂こうと、より料理のモチベーションが上がっている状態です。

しかしながら、とうもろこし。
調理しにくい。
バラバラにしてカレー等に混入させるというのも思い浮かんだものの、それではコーンの旨味がいまいち味わえないのでは?と思ってしまいました。
そんな感じで答えのない答えを求めて悩んでいた時、ふと思い浮かんだのです。
バター醤油でそのまま焼こう、と。

山育ち、海嫌いの僕からそのアイデアが絞り出たのは、自分でも意外でした。
ついに手を汚す覚悟ができたのです。

まず、とうもろこしをラップで包んで、レンジ500Wで4分、裏返してもう4分チン。
粗熱を取って皮を向き、バターを敷いたフライパンへ。
焼き色が付いたら、醤油、みりん、砂糖を混ぜた汁を垂らしながら更に焼きます。
汁気がなくなりかけたら完成です。
超簡単。

しかし、元の素材が素晴らしいので、これだけの手間でも極上の美味しさが炸裂しました。
美味い、美味すぎる。
それはそれはむしゃむしゃと食べました。
小学生の時の僕が今の自分を見たら何て言うだろうか。
信じられないと思うだろう。
でも多分、その頃の僕にこれを食わせたら「うまい」って言うんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら全ての粒を残さず食い切り、凄まじい満足感に浸りました。
改めて農家の方に感謝です。

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