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あり方が変容するとき /ファシリテーション一日一話 7

『シリーズ学びとビーイング4 学び続ける教師のあり方とは?』という本が届いた。教師のあり方について書いてくれと編集部から言われ、教員免許も持ってない自分が何を書けるか、としばし悩んだ。そこで、大好きな3人の教師の教室のしつらえ方について紹介させていただいた。あり方は空間にも現れる。国語、図工、技術という三つの科目の教師がつくった教室は、いずれも「あり方」の手本のように僕には思えた。よい手本を見ると、自身のあり方を変えてみたくなる。

献本をざっと読んでみて、いくつも心に残る言葉があった。世界史を教えていた教師が「プリントに書いてあることを説明してもらう必要はない。もっと授業中に考える時間を増やして欲しい」と生徒から直言され、あり方が変容した話は、特に印象に残った。率直な子どもからの提案をきちんと受け止めた教師がすごい。うまく展開していることでもいったん捨てて、新たな方法を模索するという「あり方」に気づくことができたと述べている。その姿勢こそ見習いたい。p54

提出物を全く出さないS君との関わりから学んだエピソードも心に残っている。子どもが提出物を出さなかったり、授業中に居眠りをしていると、説教をしたり、怒鳴ったりしてしまう。が、それは本当のところ誰が抱える問題なのか。問題解決の主体がもしも生徒なのだとしたら、生徒自らがこの問題を解決できるよう、どう援助できる?という関わりへと変容できた話も、印象深いものだった。大人のイライラを子どもにぶつけるだけじゃなく、どうやったらこれを彼自身が解決できるよう関われるか?と関わり方を変容できたことに注目したい。p31

軽井沢風越学園の校長をつとめる岩瀬直樹さんの寄稿に、若かりし自分が登場していた。公立小学校に外部ファシリテーターを呼んでくれたこと、心から感謝している。かなり無理をして実行してくれたらしい。そして、そのことで教員集団に変化が起き、岩瀬直樹さん自身が「やっぱり職員室も変われるんだ」と感じることができたという話は、もはや有り難い。自分の仕事が誰かの「あり方」に変容をもたらすこともあるんだ。あぁ、この仕事やり続けてきて、よかったなぁと、素直に思えた。p120

4月、たくさんの教師たちが子どもたちと向き合い始める季節。一年かけて自分の「あり方」を子どもたちに見せ続ける教師という職業は、実にすごいなと思う。日本中の教室で奮闘する教師のみなさんにエールを送りたい。この本がその一助になれば、と思う。



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