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AO・推薦入試に必要な“失敗”とは? :中編【リスク管理能力の効果】


前編【独自性を生み出す条件】

「成功」も「失敗」も行動がもたらした一つの「プロセス」でしかなく、また、自分自身が何者で、どこに向かおうとしているのかを示すための「条件」でしかありません。

その考え方に立った時、一見マイナスなことに思える「失敗」に対して、そこにどんな意義があるのかを見出すには、成功の価値を示す以上に自分自身の「解釈力」が必要です。

“事実は一つ、解釈は無数” とはよく言われることですが、「解釈力」にはその人それぞれが有している世界観や独自性が現れるのです。

まさにAO・推薦入試には欠かせない要素です。

そしてさらにもう一つ、失敗経験によって鍛えられる力があります。

それは「リスク管理能力」です。

新型コロナウイルスの世界的な蔓延を、米国トランプ大統領は「戦時下」と公言しました。

さらに今は、大雨や台風などの水害や地震による災害など、誰にとっても次から次へと想定外のリスクが降りかかってくる時代です。安全が保証されている人など一人もいません。

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もちろん、そうした危機的な状況をどう乗り越えるかについては、マニュアルは無意味ですし正解もありません。

そんな状況下で力を発揮するのが、まさに沢山の「失敗」の経験から得られる瞬発的な機転です。

原則として失敗は成功以上に予測不能です。
計画通りに状況が進み予測通りの結果が得られることが成功体験の一つの形であれば、失敗は不測の事態であることがほとんどです。

アフターコロナ 、ウィズコロナの今こそ、そのような突発的な事態に対峙する姿勢がその人の本質を色濃くあぶり出すものになるはずです。

日本軍が敗北した理由を徹底的に分析した古典的名著「失敗の本質」をもとに、現代の企業や組織のあり方に通じる知見が示された「超入門 失敗の本質」という著書があります。

その中の一説に、
“現代ビジネスにおける競争には『同じ戦略で戦う』ことで勝てる戦場は、ほとんどない”
という記述があります。

日本企業は、失敗をした時に抜本的に戦略を変えることが非常に苦手だそうです。うまくいかない時に、その現象面に対する対応策に終始してしまう傾向があるというのです。

“自社のやり方ではダメだったということは同じルールで戦っても勝てる確率は低いはず。であれば、新しいルールを構築してしまおう!”
という発想の転換ができないということは、「戦術」という方法論の改善改良に追われてしまい、「戦略」というゲームのシナリオを書き換えられないということです。
ちなみに、海外企業は日本企業と比べて圧倒的に新たな戦略を生み出すことが得意です。

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そうした事例もふまえ、私は、「失敗」をどう解釈するかという資質は「ゲームの新ルール」を設定する能力と同義だと考えます。
「新しい戦略」を発見するための重要なヒントが「失敗」の経験には数多く隠されているのです。

ところが、そもそも失敗経験を開示すること自体を避けてしまえば、この中から得られる学びが全く得られません。

特に日本人は間違いや失敗を恐れる国民性だとよく言われます。

偏差値によってランキングされ、正解の数の多さによって優秀さを競うという学びを中心に据え続けた日本の教育が生み出す価値観が、前述の企業活動における課題に影響しているように感じます。

こうした価値観からの脱却が、今後の実社会に生きるために、より求められるのではないでしょうか?

(後編につづく)

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