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AO・推薦入試のための本当の表現力 :後編【家族というバックステージ】

前編【サイバー空間で表れる姿】
中編【オンライン面接で起きている問題】


心理学の世界では、人間は複数の「ペルソナ」を持っていると言われています。
古代ギリシアの演劇の中で役者がつけた仮面が語源ですが、社会に適合するために、個人が「外側に見せる顔」のことを指すそうです。
私たちは様々な交流や軋轢のある社会で生きるために、性別、世代、社会的地位、職業などの役割ごとに自身の「ペルソナ」を使い分けています。

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制服で学校の仲間と会った時、スーツで職場の会議に参加する時、プライベートで仲の良い友人と過ごす時、、、たしかに、1日の中でも、TPOによって自分の振る舞い方や考え方が異なることに気がつきます。

これ自体、社会に適合するためには、決して悪いことではありません。
ただ、これまでは、仕事場、学校や塾、習い事や趣味など、それぞれの目的によって、場や空間・集う人が異なっていました。
そうした違いが、自身のペルソナをどう使い分けるべきかバランスを保つ役割を果たしていたのではないでしょうか。

ところが、コロナ禍によって、仕事をする場、学ぶ場、生活する場、生きる上でのあらゆる活動が、リモートワークやオンライン授業などにより、家庭という一つの環境に集約されるようになっています。

それに加えて、外出の時には必ずマスク。
素顔を家族以外の人に見せる機会が激減しています。
有名な「メラビアンの法則」によると、情報の伝達において、言葉や声以上に顔の表情による情報量が最も強く影響するそうです。
マスクで互いの表情が見えないことが日常になれば、自分自身の状況について家族以外の人に伝えたり、家族以外の人についての生の情報を得たりする機会が激減するでしょう。

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このように、互いの存在が非常に見えにくくなってしまう時代に、私たちが各自で有している「ペルソナ」を健全に活用し、人生というステージをより豊かに生きるためには、その舞台を支えるための「バックステージ」としての機能を「家族」が担えるかどうかが、非常に問われるだろうと私は考えます。

そして、それこそが、前回の記事でお伝えした本当の「表現力」を支える「あり方」を磨くことに他なりません。

では、、、

上司としての役割
保護者としての役割
夫や妻としての役割
友人としての役割
などなど、

それぞれの場面による異なる「ペルソナ」を、「家族という環境で統合する」とは、一体どういうことなのでしょうか?

私は、仕事や学び、遊びや友人との関係など、どんな環境においても通用する「不偏の原則」のようなものが、より意味や価値を持つようになるのではないかと思います。

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それは、とてもシンプルなことです。たとえば、、、

嘘をつかない
約束を守る
言い訳しない
仲間を大切にする
笑顔でいる

まさに、親の子供に対する「しつけ」のようなことだと思いますし、これらは、まさに家族の中でこそ育まれる素養でしょう。
こうした日常の「あり方」が、その人の魅力として相手に伝わるということは、AO・推薦入試であっても他の場面であっても変わらないはずです。

ちなみに、「身が美しい」と書いて「躾(しつけ)」です。
たしかに、これこそが本当の「表現力」の元となるのではないでしょうか?

次は、「合格したいならアーティストになろう!」です。
お楽しみに。

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