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親が知るべきポートフォリオ教育の極意:後編【“良質な客観”を活かす】

<参考記事>
親が知るべきポートフォリオ教育の極意
前編【新しい評価指標】
中編【“アート”と“投資”という視点で考える】


アートのように心が動かされる思いがけない気づきを生んだり、領域を超えた異分野の経験に一気通貫したストーリーを持たせたりするポートフォリオ作成のためには、まず、大量の活動や経験の要素が必要になります。

ただし、AO・推薦受験生に対して、、、
「ポートフォリオを作成するために、何でもよいから、これまでの経験をありったけ書き出してみてください。」
と指示だけしてみても、私の経験上では大抵の場合、なるべく多くの経験を列挙するということができません。

ノートに4、5個書き出すと、あとは筆が止まってしまい、
「えーっと、自分って、これまで何をやってきたっけ???」
と、途方に暮れてしまうケースがほとんどなのです。

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これは、一体、なぜなのでしょうか?

私が感じる最大の原因は、「時系列主義」の問題です。
ポートフォリオを作成する時、よく、誕生から今までの自分の身に起きたことを年表的に書き起こす、という手法を耳にします。実際、私がAO・推薦指導をしていた教育機関でも、そのようなフォーマットがありました。
これは、大変わかりやすく正しい手法ではあるのですが、時系列で振り返ることばかりに縛られすぎると、途端に本人から引き出したい瑞々しさや生々しさが失われていく、というジレンマに陥ることになります。

その解決の一つとして、前回記事の最後に、「喜・怒・哀・楽」で振り返るというポイントをご紹介しました。

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振り返る時に、時系列にこだわらずに、嬉しかった、楽しかった、悲しかった、怒りが湧いた、、、など、自分の感情をベースにして、思い出す方法です。
そうすることで、より切実感のあるトピックやエピソードが出やすくなります。

ただし、この方法にも限界があります。
その要素の内容が、出来事や事象についての単なる情景描写になってしまうケースが多いのです。

本人の視点だけだと、普段、あまり、思い出したり認識したりすることのない、「無意識レベル」の要素をあぶり出すことが非常に難しく、どうしても表面上の事柄や事象しか思い出せないのです。

その出来事によって、強く心が動いたことまでは覚えているのですが、自分自身の変化や成長についての言語化ができず、この段階で、、、
「自分には価値ある経験がないから、AO・推薦は向かない・・・」
と、挫折してしまうケースもあります。

ここで、私が、非常に有効だと思うポイントが、「主観」と「客観」の両軸を持つ、ということです。
これは、「親子軸(おやこじく)」にも通じる概念だと思います。

魅力的なポートフォリオを作成するためには、自分の感情が強く揺れ動いた究極の「主観」をベースにした経験がタネになります。
ですが、自分の姿は鏡を通してでしか確認することができないように、その時の自分の生々しい状況について認識し言葉にするには、「客観」の力が必要になります。

言うまでもなく、子供の成長の過程を一番近くでご覧になっているのは、保護者の方です。
我が子の誕生から来し方のあらゆる局面で、まさに「喜・怒・哀・楽」を共にする最大の伴走者でしょう。

この保護者の方の眼差しは、本当にすごいと感じることが、これまで多々ありました。

以前、あるお母様から、、、
「家族で水族館のイルカショーに行った時、『ママ、イルカがかわいそうだね』と、一言つぶやいた娘の言葉が、ずっと忘れられないんです。
この言葉に、娘の人間としての本質を感じ、この子のこうした感性を、より良い方向に芽吹かせたいんですよね。」

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こんな原点的なエピソードを持つお母様のご息女は、AO・推薦入試を受験するプロセスで、自身の研究テーマについて、出願直線まで非常に悩み、迷っていました。先の言葉は、研究テーマの元となる経験について、カウンセリングによって再度、紐解いていった際、お母様がおっしゃったものです。
この原体験にたどり着いたことがきっかけで、この受験生は、「人権」という関心への強い確信を取り戻し、見事、超難関私大の法学部にAO入試で合格しました。

普通だったら流してしまうようなちょっとした出来事の中にある、価値や本質を、我が子の中に見出す「良質な客観」という親の目を活かせば、唯一無二のかけがえのないポートフォリオになるのではないでしょうか。


次回は、アフターコロナ時代の「新しい大学受験」について、掘り下げていきます。
お楽しみに。

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