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LOOP tea strainer デザインのひみつ

(この記事は2013年にTENTのWebに掲載した文章を転載したものです)



TENT ハルタ アオキ
今日はよろしくお願いします。


開発者Nさん
よろしくお願いします。

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ーなぜ今、ティーストレイナーを新しく企画したんですか?

Nさん
KINTOでは幅広いニーズに対応できるよう、多様なドリンクウェアの開発にいそしんでいます。

ライフスタイルや好みは様々ですし、自宅とオフィスなど使う場所や時間帯によっても、使いたいとか、使いやすいと感じるものは異なると思うので。

COLUMN coffee dripper(下写真) もそうですが、今回はお茶を1杯分でもきちんと美味しく淹れられるものを作りたいと思いました。


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弊社には既に、プカプカ浮くティーストレイナー、畳めてコンパクトに持ち運べるティーストレイナーなど一人用のものがありますが、お茶を淹れる動作をよりスマートにできないかと考え、茶葉をすくってそのまま使えるティーストレイナーを企画することになりました。

最初は「すくって淹れる」という部分だけを決めてまずはざっくりした状態で依頼をしたんですけど。


アオキ
最初はいろいろな案がありましたよね。

N さん
チュッパチャップスみたいなデザインとか

アオキ
それをイチオシしていた覚えはあります(笑)

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"チュッパチャップスのような"
大量のアイデアの中で、当初TENTがイチオシしていたもの。使いやすくはあるが、ポップで可愛さのある方向性のため、今回は選択されていない。


N さんそうでしたね(笑)蓋がクルッ、パカッと開くこの構造、面白いので何か別の企画に使えないかなぁと考えたりもしました。

アオキ
でも今になって思うと、やはりもっとシャープな、オフィスっぽさというか、それが狙いとしてあったという事なんですね。

N さん
「スマート」というキーワードは確かにありましたね。



ーそのデザインの依頼先をTENT にした理由はありますか?

N さん
今回は決定事項が「茶葉をすくってそのまま使える」ティーストレイナーというだけで、デザインの自由度が高いものだったので、何か斬新なアイデアとかプラスアルファの提案をして下さるのではという期待があって、TENT さんに依頼しました。

アオキ
あがとうございます。なるほど、どちらかと言うと漠然とした状態でも頼めば…

N さん
そうですね。アイテムにもよりますが、サイズや構造、大まかな形が決まっている状態だとデザインの幅が狭まってしまうのでもったいないと思って。やはりプラスアルファの面白い提案に期待しています。

  

ー開発プロセスで印象的なエピソードはありますか?

N さん
最初のころ、スライド部分の素材と構造がなかなか決まらずに悩みましたね。使用時の強度や製造上の問題も関係していたので、まずはそれが解決しないとデザインも詰められないという感じでしたよね。

アオキ
そうですね。そのために構造のスケッチを一杯描くことになった事を強く覚えていて。

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スライド部構造のスケッチの一例
樹脂とステンレスとが触れる形でスライドさせると樹脂が削れてしまうため、樹脂同士かステンレス同士にしなければならない。上はその検討スケッチの一部

N さん
すごく判りやすいスケッチだったので、工場とのやり取りもスムースにできました。

アオキ
ありがとうございます。あとはそうですね、この案に決まったのが最後のどんでん返しという印象がありました。

ある程度、別の案に決まりかけていた所に「こんな案もありますよ」と持ってきたものに決まったという印象があるんですよ。

N さん
確かに決まりかけていたデザインもスタイリッシュで良かったんですが、欧米など海外のショップを意識した時に「あ、いわゆるスティックタイプのティーストレイナーね」というふうに見えてしまうのではないかという気がしてきて。

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当初決まりかけていた案
ステンレスの素材感を活かした二次曲面による案。スタイリッシュで大人っぽいデザインという事で決まりかけていたが、何か突き抜けていない印象。


Nさん
あそこまで進んでいた所で申し上げ難かったんですけど…

アオキ
いや、でもこちらから自発的に描いた絵でもあるんですよね。頼まれて描いたわけではなくて、こちらもなんとなく釈然としない思いがあって。


N さん
何か新しいイメージ。フリスクのケースとか、スライド式の携帯電話を彷彿とさせるような、新しい見え方のものになりそうで、これなら海外でもいけると思いました。

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方向性を変えるきっかけになったラフスケッチ
なんとなく突き抜けていない状況を打破するために、2枚の板をループ上の樹脂で囲むという構成を提案。触る部分を樹脂にする事で熱の問題も解決した。


Nさん
昨年(2012年)、LOOP ティーストレイナー はパリとベルギーの展示会で賞をいただくことができました。おかげさまで。

アオキ
いえいえ、こちらもおかげさまです。この英断がなければもしかしたら見た事があるようなものになってしまったかもしれないと思うと。

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ー発売後の反響はいかがですか?

ハルタ
受賞のお話がありましたが、海外で売れているなどのお話はあるんですか?


N さん

評判が良いと聞いています。徐々にですが取り扱い店舗も増えています。


アオキ

受賞は影響ありましたか?

N さん
そうですね、Maison & Objet (パリ)での受賞の記事が日本国内のインテリア雑誌に掲載されたりもしました。

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TENT さんは LOOP ティーストレイナーのことで気になっているところとかありますか?

アオキ
これ自体は使ってみて、すごく良いものだなあと思っていて。先日娘が産まれたのですが、産院でLOOP を使ってハーブティーを淹れたことがあって。そういった特別な場所で も気軽に美味しいお茶が淹れられてすごく重宝しました。

N さん
ご出産おめでとうございます。そうですね。LOOP はストレイナーをレストに立てて置けるので場所をとらないですし、とても洗いやすいので、私もオフィスで使っています。


アオキ
ただ、これ自体は満足している一方でプラスチック的なものというだけで使うのが苦手な人がいて。すごく良いものなのに、それだけで嫌われちゃうのがもったいないなあと思っています。

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N さん
取引先からも「プラスチックの部分もステンレスにできないか」という意見をいただきました。

アオキ
そうですよね、オールステンレスにできると、もっと使う人が広がるのではと思いました。LOOP はそれぐらい定番になっていって欲しいというか。


N さん
LOOP のプラスチック部分はデザイン面だけではなく、ステンレスの熱を遮断し、カップから取り出し易くする効果もあるんですよね。

これをオールステンレスにするにはどうしたら良いか、いろいろと検証してみようかと思います。

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アオキ

それはいいですね!具体的になった時には、ぜひTENT にお声がけを…(笑)


N さん
もちろんです(笑) 


アオキ

ありがとうございました。


N さん
ありがとうございました。






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この記事は、2013年にTENTのホームページで公開されたものを転載しました。きっかけは、このTweetです。

発売されてから何年も経過したプロダクトが、このように暮らしの中で今も愛用していただけていること、大変嬉しいです。

ありがとうございます。

TENTの過去のプロダクトに興味がある方は、このページを読んでみて下さい。


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