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報道写真の被写体となるOOH広告

2017カンヌライオンズで話題になった「Fearless Girl」。この頃からソーシャルグッドなアイデアが巷に溢れ出してきました。

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NIKEもいい意味で「わきまえない広告」を量産し続けています。

こうしたムーブメントがブーストする際には、OOH広告の掲出写真がシェアされます。

国内OOH広告事例

ここ1〜2年の国内事例をみてみましょう。

①SPUR 生理用品サンプリング

集英社『SPUR』が創刊30周年を記念して、オリジナルパッケージの生理用ナプキンをピールオフにて無料配布した事例。レインボーカラーのナプキンが貼られたボードには、「CHAI」の写真と「JUST BE YOURSELF 時代はいつもあなたから変わる」のコピー。

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②貝印 「ムダかどうかは、自分で決める。」

「貝印」が、バーチャルヒューマンを起用して打ち出した、剃毛や脱毛の固定観念を問い直すメッセージ広告。

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③SNS誹謗中傷を止める屋外広告「#この指とめよう」

みんなでつくる広告機構「AD FOR GOOD」による、社会課題を解決するための広告を掲出するためのプロジェクト。

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④広島観光連盟「ばかたれーっ‼︎」

年末に広島県への帰省を歓迎できなくなり、新型コロナウイルスに「ばかたれーっ」と悔しさをぶつけている広告。

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社会現象化を狙う広告

これらの事例は全て、社会に問題提起するタイプの広告です。

社会情勢、差別、ジェンター、誹謗中傷、などの報道記事化しやすい問題を、広告メッセージとともに社会現象化していく意図があります。当然、記事が拡散されSNS上で物議を醸し出すことも折り込み済みです。それぞれ深く練られた仕掛けや文脈があって感心するばかりです。

各事例の賛否はさておき、こういった社会派メッセージ広告はその象徴としてOOH掲出写真が切り取られ、報道記事のトップに載ります。その記事はSNSで即日シェアされ、賛否が語られ、社会現象化していきます。


「街に掲出されたOOH広告+歩行者」の写真

Web上にUPされたイメージ画像では物足りないのでしょうか。掲出前のイメージカンプでもどこかリアリティにかけてしまいます。

実際に掲出されたOOH広告とその前の歩行者が一緒に映り込むことで、広告のサイズ感や街の風景が感じられる写真が選ばれているようです。

報道陣が長年に渡って培ってきた紙面で映える写真の切取り方があるのでしょう。社会現象化されている感をファクトとして伝えるにはこのような写真が必要なのでしょう。


切り取られやすいOOH媒体は?

これを逆算してOOHを仕込むとしたら、どんなOOH媒体がよいでしょう?

主なポイントを挙げてみます。

・街の風景がコンテクストとなる
 例えば「渋谷=若者の街」「新橋=サラリーマンの街」
 ハイコンテクストになるほどウィットに富んだ演出となる。

・歩行者が一緒に映り込む目線の高さの媒体
 臨場感、実在感、サイズ感、が伝わる。

・大量出稿はマストではない
 実際に掲出したという既成事実をつくればよいので
 掲出箇所数、期間、費用を最低限に抑えることもできる。

「渋谷109シリンダ広告」とか「渋谷区民憲章シート広告」といった、スタンドアロンで視認性抜群なOOH媒体を狙いたいところですが、こういった媒体はその分費用もかかります。

最近では「Magnet by Shibuya109ビッグボード」が頻繁に利用されます。視認性はやや劣るものの費用面でお手頃で、渋谷(=若者の街)で現象化している感を演出できるからでしょう。


狙い過ぎのダサさ

ここまで書いていて思ったのですが、仕掛け人側がムーブメントをつくりだそうという意図が見え隠れしてしまうと「誠実ではないなー」と感じてしまいます。営利目的のプロモーションだと尚更です。

「時勢にフィットしたメッセージの正当性」と「タイミングを見誤らない絶妙な匙加減」が求められます。

これを踏まえて自粛した広告は数多あるでしょう。


狙わないことの副産物

OOH広告の魅力のひとつに、公共空間で多くの人から見られることがあります。

それ故、以下のような切り取られ方も発生してしまいます。


Netflix「再生のはじまり」広告の前でデモ活動

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「コロナは再生のはじまり」と掲げる集団が出現、と揶揄されてしまいました。


明治「R-1」広告の前で東京都が墾田永年私財法を呼びかけ?

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東京都職員が「墾田永年私財法」を呼びかけているようなシュールなネタが発生してしまいました。


ともに「してやったり」と言えるかもしれません。こういった現象もOOHならではですね。

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